肺炎クラミジアという名前はあまり聞いたことがないかもしれませんが、扁桃炎、気管支炎、肺炎などなどの原因となるクラミジアが引き起こす細菌性(広義の)肺炎のことです。
クラミジアを原因とする気道炎(肺炎クラミジア感染症)を引き起こす細菌です。
肺炎クラミジア感染症の症状
肺炎クラミジア感染症の最大の特徴はしつこく長い咳です。乾いた咳が数週間~1か月以上続くことがよくあります。その他には、のどの痛み、鼻水、副鼻腔炎、発熱などがありますが、発熱については高熱になることはあまりなく、38度くらいまでの熱でおさまるのが一般的です。
この病気は、症状が軽い場合は肺炎であることの自覚がないまま通院・投薬なしに治癒してしまうことがありますが、もともと肺や気管に疾患がある人や体力が低下している人は急性気管支炎、肺炎、中耳炎、喘息の悪化などを引き起こす場合があります。肺炎クラミジア感染症を発症している間に、肺炎クラミジアとは別の細菌による重複感染を起こす事もあるので注意が必要です 。
感染経路
肺炎クラミジアは飛沫感染する細菌である為、つばや咳、鼻水などにより感染します。季節による流行というものはなく、感染力が強いわけでもありませんが、潜伏期間が3~4週間と長いことが特徴で、日頃から接触している家族や幼稚園、小中学校などでゆっくりと広がっていく傾向があります。
年齢的には幼児や小中学生、高齢者への感染が多い病気ですが、成人でも体力が低下していたりすると感染することがあります。また、発症すると体内に抗体が作ら作られて抗体には基本的には感染を防ぐ力がない為、一度治ってもに感染を防ぐ機能がない為、一度治ってもまたすぐに発症するケースもあります。
治療法
肺炎クラミジアを増殖させないように、抗生物質を投与します。のどの痛みや鼻水、発熱等がひどい場合にはそれらを緩和する薬も一緒に処方します。
肺炎クラミジア感染症は、ほとんどの場合あまり重症にならずに投薬により治りますが、肺炎クラミジアは体内細胞で強い繁殖力を持っている為、10日から2週間程度の継続した服薬が必要です。
症状が治まったからといって途中で服薬をやめてしまうと、体内に菌が残って再発することがありますから、必ず医師の処方した期間は薬を飲むようにしましょう。
予防の為に
肺炎クラミジアの感染予防は、他の病気と同様に日頃からの手洗いやうがいが基本です。また、体力が低下していると感染しやすくなりますので、きちんとした食事と睡眠により健康な状態を保つことが重要です。
もし家族の誰かが発症したら、別の家族も感染している可能性が高いので心配な時はいつでもクリニックにご相談下さい。
【この記事を書いた人】医学博士 中野康伸
横浜市生まれ、自治医科大学卒
・日本小児科学会専門医
・日本アレルギー学会専門医
・日本東洋医学会専門医
横浜市港北区で小児科専門医として、地域に根差した診療を行っています。「病気・症状何でもQ&A」のコーナーでは、一般の方にも分かる最新の医学知識や予防接種の情報、育児・発育の心配な事、救急時の対応など、様々なトピックを掲載しています。