気管支とは、肺の中で細い網の目のように張り巡らされた細い管、気道から肺へ空気を運ぶ役割をしています。
ウィルスや細菌が気道に入ると、体力があって、体の抵抗力や免疫力がある時は、気管支粘膜に生えている細かな線毛や粘液が保護してくれるのですが、風邪をひいたりして、抵抗力が落ちた時にウィルスや細菌に感染すると、気管支に炎症を起してしまい、内側の粘膜が腫れて空気の通り道が狭くなり、呼吸が苦しくなります。
例えば痰のからんだ「ゴホゴホ」という咳が長く続いたり、熱がなかなか下がらなかったり、横になって寝ると咳き込みがひどくて苦しい症状などがある時は、気管支炎が疑われます。特に、気管支が未発達の乳幼児が気管支炎になり易いのは以上のような理由からです。
原因
主な原因は、ウィルス(RSウィルス、アデノウィルス、パラインフルエンザウィルス等)や細菌(マイコプラズマ、肺炎球菌等)です。細菌性の場合は、抗生剤を使って細菌をたたくことができますが、ウィルス性の場合は特効薬がほとんどないので、気管支拡張剤や吸入、去痰剤を使って症状を和らげながら、自然に治るのを待ちます。
ただし、最も細い細気管支に炎症を起こしている場合や、炎症が広範囲に広がって肺炎を起こしている場合(レントゲンで影が写ります)は、入院も考慮して、治療を促すこともあります。また、喘息を持っている子は、気管支炎や肺炎を合併すると悪化しやすいので、肋骨をへこましながら呼吸をしていたり、肩を使った苦しそうな息遣いがあったらすぐに受診して下さい。
通常は、2~3週間くらい安静にしながら、外来でネブライザーを使って吸入したり、気管支を拡げる薬や痰を出しやすくする薬を使いながら治癒に導きます。
ご家庭でのケア
横になると痰がからんで咳き込んで眠れない事が多いので、赤ちゃんなら縦抱っこで寝かしつけるか、枕を高くして体を横向きにしてあげると、咳き込みにくくなります。
また、うつぶせの方が楽なのですが、その際には口や鼻を塞いでしまわないように注意しましょう。
室内は60%くらいの湿度を保ち、こまめに水分補給して痰を流しやすくします。一度に飲ませると咳き込んで吐いてしまうので、少しずつあげましょう。
鼻水も出ているようなら、自宅で花吸引できる器具を使うなどして工夫すれば呼吸が楽になります。また、体温が上がると気管支が浮腫して、空気の通り道がさらに狭くなってしまうこともあるので、室温はやや低めに保ち、お風呂はシャワー程度で短時間にしましょう。
また、咳き込み始めたら、背中や胸を軽くトントン叩いてあげると、痰が取れやすくなります。
【この記事を書いた人】医学博士 中野康伸
横浜市生まれ、自治医科大学卒
・日本小児科学会専門医
・日本アレルギー学会専門医
・日本東洋医学会専門医
横浜市港北区で小児科専門医として、地域に根差した診療を行っています。「病気・症状何でもQ&A」のコーナーでは、一般の方にも分かる最新の医学知識や予防接種の情報、育児・発育の心配な事、救急時の対応など、様々なトピックを掲載しています。