肺炎

「風邪をこじらせて、肺炎になってしまった・・・」と言うことがありますが、風邪がこじれるというのは、一体どういうことでしょうか?

風邪は、鼻や口からウィルス・細菌が体内に侵入して感染し、喉の炎症や発熱・鼻水・咳などの症状を引き起こします。体の免疫力が低下していると、普段なら痰と一緒に体外へ押し出されるようなウィルスや細菌が気管支の粘膜に残ってしまい、それが肺の先端の組織(肺胞 : はいほう)にまで到達することがあります。これが風邪がこじれて肺炎になる理由です。

特に生後6~7ヶ月前後の赤ちゃんは、お母さんからもらった免疫力が低下してくる時期です。従って、風邪をこじらせるなど肺炎になりやすいと言われているので注意してください。

主な症状

発熱や鼻水などの風邪症状で始まって、「ゴホン、ゴホン」と痰がからんだような湿った咳が続きます。38度以上の高熱が5日以上続いたり、脈が速くなって(1分間に100回前後)、息苦しくもなります。重症になると、ぐったりとして食欲もなくなり、呼吸困難に陥ってチアノーゼを起こしたり、激しい咳で嘔吐を繰り返して、ひどい時には脱水症状を起こしたりもします。

肺炎の種類

大きく分けて3種類あります。

  1. インフルエンザ菌肺炎球菌、黄色ブドウ球菌などが原因でかかる細菌性の肺炎
  2. RSウィルスアデノウィルスインフルエンザウィルスなどによるウィルス性肺炎
  3. マイコプラズマやクラミジアが原因の非定型肺炎

60~70%の肺炎は①の細菌によるものですが、②の RSウィルスインフルエンザは毎年秋から冬になると流行し、特にRSウィルスは1才以下の乳児の70%がかかると言われています。

③のマイコプラズマ肺炎は、学童期にかかることが多く、しつこく咳が続くのが特徴で、4年に一度大流行すると言われています。

治療方法

①細菌性肺炎の場合には、抗生物質が有効です。軽度なら通院して自宅で抗生剤を服薬、安静にするケースもありますが、高熱が続いたり、脱水症状を起こしているような場合は、1~2週間程度入院して抗生物質の点滴や酸素吸入をします。特に乳幼児の場合は、症状が急変することがありますので多くの場合は入院することになります。

②ウィルス性の肺炎の場合は、基本的には対症療法になります。咳止めを使ったり、気管支拡張剤で空気の通りをよくすることで呼吸を楽にしてあげます。免疫力の低下による二次感染を防ぐために抗生物質を使うこともあります。

③非定型肺炎の場合にも抗生物質を使います。「もう良くなったかな?」と自己判断して服薬をやめてしまうと、完全に治癒しないで咳が長引くことになりますので、処方された期間はきちんと飲み切るようにして下さい。

家庭でのケア

空気が乾燥していると咳が出やすくなりますので、加湿器を使ったり、洗濯物を部屋干ししたりして、適度な湿度(60%前後)を保つようにしましょう。また夜、寝る時に体を横にすると咳がひどくなるようなら、上半身を起こした姿勢で、背中に枕やクッションなどを当てて頭を高くしてあげると、呼吸が少し楽になります。寝ている間に痰が絡んで、ひどく咳き込むようなら、横向きに寝かせて背中を軽くトントンと叩いてあげたり、少し起こして水やお茶を飲ませたりしましょう。喉が湿っていたほうが痰の切れが良くなりますので、こまめに水分をとることは大切です。

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