マイコプラズマ肺炎

マイコプラズマは、4~7年の周期で大流行し、特に日本ではオリンピックの年に流行する傾向があり、「オリンピック病」という異名で呼ばれたこともあります(現在ではあまり周期性がなく、通年流行しているようです。)

肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)と呼ばれる細菌とウィルスの中間に位置する微生物による感染症で、気道に炎症が起こり、激しい咳が続くのが特徴です。

感染経路は、咳や痰による飛沫感染で、潜伏期間は2~3週間と比較的長いため、学校や職場などで発現すると長期にわたって流行することが多いようです。

乳児が感染することは比較的少なく、5歳以上の学童への感染が多くみられます。かかっても免疫ができにくいので、一生のうちで何度も感染する可能性があります。

主な症状

風邪と似たような症状から始まり、だんだんと咳がひどくなり、しつこく長く続きます。特に夜や明け方には、喘息のような発作的な激しい咳をすることがあります。38度~39度前後の高熱が出るわりには、機嫌もよくて食欲もあるのですが、3~4日たっても熱が下がらず、夜になると38度前後の高熱を繰り返します。

場合によっては、嘔吐下痢を伴ったり、中耳炎や鼓膜炎を併発することもあります。マイコプラズマ肺炎は、聴診や経過の観察だけでは、なかなか判断しにくいものです。レントゲン写真で肺に特別な影が認められ、血液検査で抗体値が上昇していれば、マイコプラズマ肺炎と確定されます。

主な合併症

胸水がたまる胸膜炎や、比較的まれに脳炎や髄膜炎などを合併することもあります。

治療法

マイコプラズマ症には、クラリスロマイシンなどのマクロライド系、またはミノマイシンなどのテトラサイクリン系、あるいはニューキノロン系の抗生物質を使います。マイコプラズマに効果がない抗生剤を長期服用し続けても、一向に改善せず、かえって肺炎が重症化することがあります。マイコプラズマ肺炎は、肺炎の中では比較的症状が軽く、入院せずに外来で治療することが可能な病気のひとつです。

予防法

残念ながら、マイコプラズマ症に対するワクチンは今のところありません。マイコプラズマが流行っている時は、できるだけ人ごみを避け、外出から帰ったらうがい、手洗いを励行するように心がけましょう。