アレルギー(ピーナツ)

今回は、卵、牛乳とならんでアレルギーの多いピーナッツについて特集します。

ピーナッツは、マメ科の植物で、正確には「落花生」のことを指します。くるみやアーモンドのように木になる実とは異なり、地中に根を生やして育つ食物です。

マメ科のアレルゲンでほかによく知られているのは大豆ですが、ピーナッツは少量でも重篤なアレルギー反応を起こす可能性の高いアレルゲンです。アレルギーの症状は、口の周りがかゆくなって赤くなったあり、全身にブツブツが出る程度から、喉が腫れて呼吸困難に陥り、アナフィラキシーショックを起こして死に至るケースまでさまざまです。特にピーナッツは、強いアレルギー反応が出ることで知られていますので、できるだけ早い段階で発見しておきたいアレルゲンです。

ピーナッツのアレルゲン成分

ピーナッツアレルギーの原因物質は、ピーナッツに含まれるヒスチジンが微生物によってヒスタミンに変わり、それが気管支を収縮させたり、じんましんを起こします。

隠れピーナッツ

ピーナッツ自体は固すぎて、小さい子どもにあげることはないから大丈夫、と思っていても、いろいろな加工食品の中にピーナッツの成分が含まれているので、食べた覚えがないのにアレルギーが出てびっくりすることがよくあります。

例えば、落花生オイルを使ったお菓子(キャンディや焼き菓子、チョコレート)、カレーのルー、ピーナツバター、ゴマだれ、担々麺、チョコアイス、インスタントラーメン、あらかじめ味のついた肉、チャーハンの焼き豚、肉まん、あんまん、フライのソース、パスタソース、サラダ、サンドイッチなど挙げるときりがありません。

こういった隠れピーナッツ入りの加工食品を食べた時に初めてアレルギー反応が出ると、いったい何が原因だったんだろう・・・?と悩むことになります。ほとんどの場合は、食べてから約15~30分以内に症状が出ます。

アレルギーをどうやって見つける?

他の代表的なアレルゲンとなる食品(牛乳、そば、小麦など)に反応が出ているようなら、ピーナッツも注意したほうがよいでしょう。

最近の研究成果

2015年に発表されたイギリスでの研究結果によると、生後4~10か月からすこしずつピーナッツを定期的に食べさせたほうが、5歳になったときのアレルギー発症リスクが80%以上も減ったということです。

また、生後12か月以上の子どもに同じような検査を行った結果、まったくピーナッツを食べていない子と比べてアレルギー発症率が74%減ったということです。

この研究結果について、イギリスの有名な小児アレルギー研究者であるGideon Lack教授は、特定物質を除去してしまうことが、かえってそれに対する耐性や抵抗力の獲得を阻害している、とコメントしています。

乳児の離乳時期になるべく早くピーナッツを試しておくほうがよいというのが最近の考え方になっています。

アレルギー検査

食物アレルギーを引き起こす「アレルゲン」を特定するための検査は、負荷試験(実際食べてみる)が基本です。医師の監視のもとに少しづつ食べながら、ゆっくり 時間をかけて症状の程度を見て判断するという方法です。

この方法は、かなりの時間と人の手間をかけて実施するため、入院して閾値(食べられる量を決める)を決めるのが一般的です。場合によってはアナフィラキシーを起こす危険性もあります。軽い症例では外来で実施することも可能ですが、かなりハードルが高いのが実情です。

そこで、一般的には、血液の抗体検査でアレルギーがあるかないかを判定する方法がよく使われています。また最近は、「アレルゲンコンポーネント」という、アレルギーを引き起こす食物抗原の特殊な部位を測ることができるようになり、ピーナッツ、クルミ、カシューナッツ、大豆、小麦アレルギーなどはかなりの精度で診断ができるようになりました。しかし、抗体が陽性でも必ずしも原因アレルギーとは言い切れず、やはり確定には前述の負荷試験が必要になるわけです。

多くの医療機関からよく聞く話ですが、血液検査といっても、乳幼児は血管が細くて、しかも見えにくいので採血がなかなか難しく、何度も穿刺して、こどもに負担をかけてしまうとのことです。また赤ちゃんの場合、免疫がまだ未発達なので血液検査では反応が出にくく、原因食物の結果がたとえマイナスでも、実際身体はアレルギーを引き起こす可能性はあります。(偽陰性)

当クリニックでは、詳しい問診とこれらの検査結果を参考にしながら、小児食物アレルギーガイドラインに記載のある、「経口免疫療法」に準じた正しい食の進め方の指導を、アレルギーエデュケーター(臨床アレルギー学会認定看護師)が時間をかけて説明しています(予約制)。ご希望の方は、受付にご相談下さい。