春先の花粉症シーズンになると、目がかゆくて涙が止まらなくなったりしませんか?花粉で目がかゆくなるのもアレルギー性結膜炎の一種です。
アレルギー性結膜炎とは、まぶたの裏側や白目を覆っている薄い膜(結膜)に花粉やハウスダストなどのアレルギー物質が付着して、それに過剰に反応して目がかゆくなったり、充血したり、涙が止まらなくなったり、めやにが出たりするアレルギー疾患です。
ひどい時には目の擦りすぎで結膜がむくみ、白目の部分がブルブルしたゼリー状になってびっくりすることもあります。
アレルギー性結膜炎を起こす代表的なアレルゲンは、スギやブタクサなど春先の花粉、ダニやカビなどのハウスダスト、動物のフケなどです。目の粘膜は、常に空気に触れていて、手でこすったりして異物が入り込みやすいので、一番アレルギーが出やすい部位でもあります。
アレルギー性結膜炎には、大きく分けて3種類あります。
花粉症 のように、ある時期だけ症状が出る季節性の結膜炎、ハウスダストの場合は一年中アレルゲンがあるので、通年性の慢性結膜炎になります。
もう一つは、春季カタルと呼ばれる重症のアレルギー性結膜炎で、上まぶたの裏側にブツブツ(乳頭)ができて、かゆみが非常に強く、異物感や痛みを伴う場合もあり、放置していると角膜が濁って弱視になったり、角膜が剥がれ落ちる(角膜潰瘍)ことがあります。特に春先に悪化することが多いので、こうした名前が付けられています。10歳くらいまででアレルギー体質の男児に多いのが特徴で、大人になれば自然に治るケースが多いようです。
治療と予防
花粉症 の場合は、シーズン開始の2週間くらい前から抗アレルギー点眼薬を使い始め、アレルギー症状が出にくいように予防します。ハウスダストの場合も同様に、長期間使用できる抗アレルギー点眼薬や、合併する鼻炎などがある場合は内服薬を使って症状が出るのを予防します。
アレルギー症状に応じて、短期間だけステロイド薬の点眼を使って、かゆみや症状を抑えます。ステロイド薬は、長期間使用すると、緑内障や白内障を引き起こすことがあるので、使用量や使用期間を必ず守ってください。
春季カタルでまぶたの裏のブツブツが巨大化してしまった場合は、手術で切除することがあります。また、結膜へステロイド薬を注射することもあります。
予防法
他のアレルギー性疾患と同様に、アレルゲンを避けることが一番です。花粉症ならメガネやマスクをして、できるだけ目にアレルゲンが入らないように予防しましょう。また外出から帰ったら、衣服に付着した花粉を払い落して、手洗い、洗顔をしましょう。もし目を洗うなら、生理食塩水(ドラッグストアで販売している洗眼液はお勧め)で洗うようにしましょう。水道水で目をこすって洗ったりすると感染をおこしたり、かえって角膜を傷つけてしまうことがあるので注意が必要です。
ハウスダストが原因なら、部屋の掃除をこまめにして、布団は天日干しにし、部屋の湿度を40%以下にしてダニが発生しにくい環境を作るようにするとよいでしょう。
ご希望の方には、対策法パンフレットを無料で差し上げます。
【この記事を書いた人】医学博士 中野康伸
横浜市生まれ、自治医科大学卒
・日本小児科学会専門医
・日本アレルギー学会専門医
・日本東洋医学会専門医
横浜市港北区で小児科専門医として、地域に根差した診療を行っています。「病気・症状何でもQ&A」のコーナーでは、一般の方にも分かる最新の医学知識や予防接種の情報、育児・発育の心配な事、救急時の対応など、様々なトピックを掲載しています。