アレルギー(牛乳)

乳幼児の3大アレルギーとなるのが、卵、牛乳、小麦です。今回は、牛乳と粉ミルクについて取り上げてみます。

牛乳アレルギーとは?

牛乳の場合、おもにアレルゲンとなるのは「カゼイン」と呼ばれるタンパク質です。この「カゼイン」は、火を通しても壊れにくいため、牛乳にアレルギー反応が出てしまったら、牛乳を飲まないようにするしかありません。

また、乳幼児の場合は、腸が未発達なので、牛乳を消化する能力が足りないためにアレルギー反応が出る場合もあります。その場合は、成長とともに徐々に症状が軽くなっていきます。

アレルギー反応

主なアレルギー反応としては、下痢嘔吐、発疹です。発疹は体の表面に出る場合もあれば、喉などの粘膜に出る場合があり、むくんだり、呼吸困難になる危険性があります。

特に、アレルギー体質の子どもは、同時にアトピー性皮膚炎喘息アレルギー性結膜炎や鼻炎になりやすいので注意が必要です。

一度アレルギー反応が出てしまうと、2回目からはさらに反応がひどくなる傾向があります。人間の体は、アレルギー物質を異物として記憶するので、次にまた同じ成分を口にすると、前回より少量でもアレルギー反応を起こしやすくなります。つまり、アレルギー反応を繰り返せば繰り返すほど、アレルギー反応は止まらなくなります。

特に乳製品にアレルギーがある場合、牛乳と似たようなタンパク質構造を持つほかの食品に対しても、アレルギー反応を誘導してしまうことがあります。アレルギー反応が出てしまった食品については、一時的に完全除去することが大切です。

アレルギー検査

アレルゲンを特定するための検査は、生後4か月から可能です。血液の抗体検査でアレルギーがあるかないかは判定できます。最近は、アレルゲンコンポーネントArah2を測ればかなり正確に診断できるようになりました。

しかし、赤ちゃんの血管は非常に細く、採血の負担が大きいこと、それに加えて赤ちゃんの場合、体の未発達が原因で症状が出ている可能性も大きいので、本当の意味で何にアレルギーが出るかを特定できるのは、2歳を過ぎてからになります。

どの程度のアレルギー反応が出るかを調べるには、経口負荷テストといって、医師の監視のもとですこしずつ食べてみて、時間をおいて症状の程度を見るという方法がありますが、かなり時間がかけて実施するので、1日入院するのが一般的です。

あまりにも症状がひどい場合は、原因を早期に特定し、除去するために検査をおすすめしますが、そうでない場合は、少量ずつ与えてみて様子を見るほうがよいと思います。

母乳とアレルギー

母乳で子育てしていると、自分が食べたものが原因で、母乳から赤ちゃんにアレルギーが出るのではないか?と心配するママたちがいます。

しかし、最近の研究でわかったのは、授乳中に卵や小麦、牛乳といったアレルギーになりやすい食品を食べていたママの赤ちゃんのほうが、アレルギーの出る子が少ないという結果がわかりました。

これは、ママの母乳を通して少しずつ体の中に取り込むことで、いきなり離乳食の時に卵や牛乳などを食べるよりも、徐々に体が慣れていくからだといわれています。

また母乳には、赤ちゃんにしか消化できない乳糖と呼ばれる成長に欠かせない大切な栄養素が多く含まれており、その他の栄養源もママの母乳を通して赤ちゃんが消化しやすいようになっています。

さらに母乳を通してママの持っている免疫が赤ちゃんにつくので、予防接種を受けられるようになるまでの間、赤ちゃんが病気にかかるリスクを抑えることができます。

牛乳アレルギーと診断された場合

粉ミルクで育てている赤ちゃんが牛乳アレルギーを持っている場合は、カゼインを加水分解したミルクや乳清を分解して作られたミルクがありますので、そういったものを選ぶようにしましょう。何を選べばよいかわからない場合は、お気軽にご相談ください。

また、幼児期になっても牛乳アレルギーがひどい場合は、牛乳の代わりに豆乳を飲ませたり、お菓子作りの際にも乳製品の代わりに豆腐やジュースを使って工夫するようなレシピがインターネットにたくさん紹介されていますので、活用してみてはいかがでしょうか?

目安としては、3歳になる頃まで牛乳を徹底して除去することです。それから様子を見ながら少しずつ与えてみましょう。