はしか(麻疹)

はしかは、麻疹ウィルスによって飛沫感染する感染症です。ウィルス感染症の中で最強の感染力を持ち、予防接種を受けていない子が、はしかにかかっている子に接触すれば間違いなくうつると考えたほうがよいでしょう。

潜伏期間は10~12日で、感染するとほぼ100%発病します。しかも、肺炎や脳炎などの恐ろしい合併症が多く、入院が必要になることもよくあり、場合によっては高熱と激しい咳で1週間以上の間、苦しみます。

症状と対処

はじめの2~3日は、発熱とともに咳、鼻水、目やになどが出て、普通の風邪とあまり区別がつきません。一旦、熱は下がるものの、再び39~40度の高熱となって再発熱するのが特徴で、それと同時に全身に赤い発疹が広がります。ひどい時には皮膚の白い部分が見えなくなるほど広がることがありますが、かゆみはありません。

通常は、この時期に口腔内に白い小さな水疱(コプリック斑)が現れます。順調にいけば発疹が出てから3~5日ほどで熱は下がり、発疹は褐色になってやがて消えていきます。

合併症としては中耳炎が多く、その他に肺炎気管支炎、脳炎を起こすことがあります。また、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)という恐ろしい病気にかかる可能性もあります。これは、麻疹にかかったことのある人が発症する病気で、麻疹ウィルスが脳内に潜伏し、感染してから数年~十数年という長い年月の間にゆっくりと進行する脳炎です。発症した場合は、植物人間になり、やがて死に至るという麻疹の最悪の合併症です。

はしかはウィルス感染症なので特効薬はありません。基本的には症状に応じてお薬を使う対症療法になります。高熱を下げるための解熱剤や、強い咳を抑えるための咳止め、炎症を抑えるための消炎鎮痛剤、合併症を防ぐための抗生物質なども使われる事もます。 

はしかの予防接種を受けていないお子さんが、はしかの子と接触した場合、あるいは地域ではしかが流行している場合等、はしかが疑われる時には、熱が出た時点で早めに受診して下さい。万が一、感染したとしても、感染から3日以内に麻疹ワクチンを打てば、症状を軽く済ませることができると言われています。

尚、はしかの疑いがある場合には、院内感染を防ぐために、ご来院される前に必ず受付にお電話にてご相談下さい。

家庭でのケア

熱が高い時には、解熱剤を適切に使ってあげてください。食事は無理に食べさせようとせずに、消化が良くて口当たりのいいものを欲しがるだけあげましょう。また、脱水になりやすいので、水分はこまめに補給してあげてください。

熱が完全に下がって3日くらいして元気があれば登園・登校しても構いませんが、病後は相当の体力を消耗していますので、あまり無理をさせないようにしましょう。また、治りかけの頃は、免疫力が低下して他の感染症にかかり易くなっていますので注意しましょう。

予防接種

はしかは予防接種を受けていれば、ほとんど感染を防げる病気です。1歳のお誕生日を過ぎたら、できるだけ早く接種するようにして下さい。

予防接種を受けられない1歳未満の赤ちゃんの場合は、ママからもらった抗体が生後3~4ヶ月くらいまでは有効ですが、生後4~6ヶ月を過ぎる頃から次第に減少し、生後8ヶ月までにはほとんどなくなってしまいます。この為、ママからもらった抗体がなくなる1歳前後の赤ちゃんが感染することが多いのも事実です。

1歳になる前にどうしても保育園へ預けなければならないなどの事情がある場合には、任意接種という方法もありますので、是非院長にご相談下さい。

「はしか」が怖いのは、重大な合併症をおこすことが多いことと、治療法が全くないという事です。このホームページでも再三お知らせしているように、はしかの免疫は年令と共に低下していく可能性がある為、幼稚園、保育園の年長の学年で昨年から2回目(第二期)の予防接種が始まったわけです。

よく「小学生、中学生あるいは大人の2回目のはしかワクチンを打ちたいのですが、どうでしょうか?」という質問を受けます。自費になりますが、ご希望の方にはお勧めしています。

院長がこどもだったころの昔(?)のように、街に自然のはしかがいつも流行していた時代は、体の免疫が常に活性化(ブースター効果といいます)されていたので、免疫は落ちませんでした。しかし、衛生環境がとても良くなっている現代では、このブースター効果が期待できません。ですから、ワクチンを2度打って免疫を元気づけるわけですね。

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