
食物アレルギーの原因のひとつが小麦です。
小麦のアレルゲンは、主な成分であるグルテン、グリアジンという特殊なタンパク質で、それを消化できないことで、皮膚のかゆみやじんましんなどのアレルギー反応がでます。
小麦を使った主な食品といえば、パン、うどん、パスタ、ラーメンなどが最初に思い浮かぶでしょう。しかし、注意しなければならないのが、加工食品に含まれる原材料です。スナック菓子や加工食品の揚げ物のつなぎ、食品に粘り気を出すために使われている場合もあります。
もちろん、小麦の主な栄養素は、炭水化物なので、もし小麦アレルギーと診断されたら、簡単にお米やイモ(じゃがいもやさつまいもなど)で代用することができます。お米アレルギーがないようなら、主食はお米中心の和食にすれば栄養も偏らずに済みます。
主な食品
以下は、意外と知らないことの多い小麦が含まれる食品例です 。
- お麩
- 餃子や焼売などの皮
- カレーやシチューなどの固形ルー(粘り気を出すために使われている場合があります)
- ソース、しょうゆ
- 洋菓子全般(クッキー、ケーキ、ホットケーキ、ドーナツ)
重度の小麦アレルギーの場合は、調理するときにちょっと粉末が混入したり、以前使った調理具に成分が残っているだけでもアレルギー症状が出ることがあるので、面倒でも子供の食事と大人の料理を作る調理器具や作る過程などは、きちんと分けるようにしましょう。
アレルギー検査
アレルゲンを特定するための検査は、生後4か月から可能です。血液の抗体検査でアレルギーがあるかないかは判定できます。最近は、アレルゲンコンポーネントArah2を測ればかなり正確に診断できるようになりました。
しかし、赤ちゃんの血管は非常に細く、採血の負担が大きいこと、それに加えて赤ちゃんの場合、体の未発達が原因で症状が出ている可能性も大きいので、本当の意味で何にアレルギーが出るかを特定できるのは、2歳を過ぎてからになります。
どの程度のアレルギー反応が出るかを調べるには、経口負荷テストといって、医師の監視のもとですこしずつ食べてみて、時間をおいて症状の程度を見るという方法がありますが、かなり時間がかけて実施するので、1日入院するのが一般的です。
あまりにも症状がひどい場合は、原因を早期に特定し、除去するために検査をおすすめしますが、そうでない場合は、少量ずつ与えてみて様子を見るほうがよいと思います。
小麦アレルギー関連のニュース
ニュースで話題になった「悠香の茶のしずく石鹸」による、小麦アレルギー事件を知っていますか?全国で約570人が同石鹸を使用し続けたことにより、小麦に対してアレルギー反応を起こすようになり、呼吸困難に陥った人も多数出たということです。使用を中止すれば、皮膚から吸収された体内のアレルゲン物質が1年以内に半減し、その後はアレルギー症状が出なくなったという報告もあります。
この石鹸に含まれていた成分とは、グルパール19S、別名「加水分解小麦」という成分で、これは、小麦の種を原料としており、アレルギー反応を誘発しやすい物質でした。今まで食べても何の症状もなかったうどんやラーメンなどの小麦を原料とする食品を食べると、アレルギー反応がでるという即時型アレルギーになってしまった例もあります。
この事件でわかったことは、アレルゲンとなる原因物質を含む物を食べなくても、触れることによって、経皮的に感作するということです。重度のアレルギーの子供の場合は、触るだけでもアレルギー反応を起こす可能性があるので、十分に注意しましょう。