乳幼児の食物アレルギー

食物アレルギーとは、ある特定の食物を食べると呼吸がゼーゼーしたり、湿疹(しっしん)、じんましんが出たり、腹痛や嘔吐、下痢がひどくなったり、目や鼻がかゆくなるなど多種多様な症状が現れる状態を言います。

よく、子どもの皮膚に少しでも変化が起こっただけで、「食物アレルギーでは?」と思いがちですが、一般的にはその原因診断はとても難しいです。

簡単な血液検査や皮膚テストだけで100%分かるわけではありません。また、たとえそれらの数値が高くても、全く症状のない人もいれば、その逆の場合もあります。

食物アレルギーの原因となる7品目

食物アレルギーの原因を診断するのは難しいとはいうものの、原因となりやすい食品はあります。

卵、牛乳、小麦はその代表例です。これに、えび、かに、そば、落花生を加えた7品目は食品衛生法関連法令で必ず加工食品に表示することが義務付けられています。

卵アレルギーについて詳しくはこちら

小麦アレルギーについて詳しくはこちら

牛乳アレルギーについて詳しくはこちら

ピーナツアレルギーについて詳しくはこちら

もし食物アレルギーの原因がはっきりと分かっている場合には、加工食品を購入するときにその表示に是非気をつけてください。 いずれにしても、食物アレルギーの疑いがある場合には、当クリニックに相談してください。

アレルギー検査

食物アレルギーを引き起こす「アレルゲン」を特定するための検査は、負荷試験(実際食べてみる)が基本です。医師の監視のもとに少しづつ食べながら、ゆっくり 時間をかけて症状の程度を見て判断するという方法です。

この方法は、かなりの時間と人の手間をかけて実施するため、入院して閾値(食べられる量を決める)を決めるのが一般的です。場合によってはアナフィラキシーを起こす危険性もあります。軽い症例では外来で実施することも可能ですが、かなりハードルが高いのが実情です。

そこで、一般的には、血液の抗体検査でアレルギーがあるかないかを判定する方法がよく使われています。また最近は、「アレルゲンコンポーネント」という、アレルギーを引き起こす食物抗原の特殊な部位を測ることができるようになり、ピーナッツ、クルミ、カシューナッツ、大豆、小麦アレルギーなどはかなりの精度で診断ができるようになりました。しかし、抗体が陽性でも必ずしも原因アレルギーとは言い切れず、やはり確定には前述の負荷試験が必要になるわけです。

多くの医療機関からよく聞く話ですが、血液検査といっても、乳幼児は血管が細くて、しかも見えにくいので採血がなかなか難しく、何度も穿刺して、こどもに負担をかけてしまうとのことです。また赤ちゃんの場合、免疫がまだ未発達なので血液検査では反応が出にくく、原因食物の結果がたとえマイナスでも、実際身体はアレルギーを引き起こす可能性はあります。(偽陰性)

当クリニックでは、詳しい問診とこれらの検査結果を参考にしながら、小児食物アレルギーガイドラインに記載のある、「経口免疫療法」に準じた正しい食の進め方の指導を、アレルギーエデュケーター(臨床アレルギー学会認定看護師)が時間をかけて説明しています(予約制)。ご希望の方は、受付にご相談下さい。

食物アレルギーに役立つレシピ

環境安全保全機構のホームページに、「食物アレルギーのこどものためのレシピ」が掲載されています。ぜひ参考にしてみてください。