ダニアレルギー

ダニは、ぜんそく患者の80~90%以上の人が反応するアレルゲンだと言われています。またぜんそくだけでなく、アトピー性皮膚炎アレルギー性鼻炎アレルギー性結膜炎などのアレルギー疾患の代表的な原因でもあります。

高温多湿な日本では、ダニが繁殖しやすく、どんなに毎日きれいに掃除しても、ダニをゼロにすることはできません。特に、布団やじゅうたん、畳、敷物、ソファーなどは、ダニの温床で、数十万~数百万匹以上ものダニ(死骸も含む)がいると言われています。

ダニは小児ぜんそくの90%以上のアレルゲン

ダニには、いくつかの種類がありますが、ペットが家に持ち込んだりして、噛まれると非常にかゆい赤い湿疹がしつこく残るのは、ツメダニ類で、この種類はアレルギー疾患の直接的な原因ではありません。

小児ぜんそくの90%以上の原因となっているのが、チリダニ類と言われるものです。体長はわずか0.3mm~0.4mm程度で、そのタンパク質がアレルゲンになります。チリダニの死骸やフン、脱皮した殻などが乾燥すると、超微粒子のチリとなって、布団の中や畳、じゅうたんの奥に潜伏します。布団で寝返りを打ったり、じゅうたんの上を歩いたり、掃除機の排気などで、こうしたチリが空気中に舞って、呼吸や皮膚の傷口から体内に入ることでアレルギー反応を引き起こします。

ダニを除去ための対策

アレルギー疾患を治療する上で最も重要なのは、アレルゲンを除去することです。しかし、ダニの場合は、生きている間だけでなく、死骸になってもそのたんぱく質がアレルゲンとなるのが厄介です。

布団の天日干しや高温加熱処理、丸洗いは、ダニを死滅させることができても、それだけでは繊維の中に入り込んだ死骸やフンを除去することはできません。布団やじゅうたんなどのダニの住処となるモノ、場所を、徹底的かつ定期的に掃除機で吸い取らなければ効果はありません。布団を干す時に、布団たたきでバンバン叩いても、布団の奥に潜んでいるダニはほとんど取れないそうです。ひどいアレルギーで悩んでいる方は、少し面倒かもしれませんが、布団に掃除機をかけることをお勧めします。

ダニが繁殖しやすい条件

  1. 高温多湿(20~25度、湿度60%以上)であること
  2. 人間やペットのフケやアカなど、えさが十分にあること
  3. 布団、じゅうたん、畳、カーペット、ぬいぐるみなどの中

①の対策としては、部屋をこまめに換気することや押し入れの通気を良くすること、特に梅雨の時期は除湿機を使って湿度を下げることです。

②の対策としては、こまめに掃除機をかけ、クイックルなどの床拭きクロスでほこりを除去することです。

③の対策は、もちろん布団をやめろというのは無理ですが、こまめに掃除機をかければ、ダニの数が激減します。その他については、なるべくじゅうたんや畳はやめて、フローリングやタイルにする、ぬいぐるみはなるべく置かない、ソファーは布製ではなく、合皮やビニール製のものを選ぶ、家具のホコリなどの拭き掃除をこまめにするなどの努力をすることで、ダニが減って、アレルギー症状も大幅に改善されます。

事実、当クリニックの患者さんでも、掃除の徹底でアレルギーを克服された方が少なからずいらっしゃいます。