日本小児科学会の推奨予防接種ガイドラインでは、入学前に三種混合ワクチンを任意で追加接種することを勧めています。詳しくは、小学校入学前に接種するワクチン(日本小児科学会)をご覧ください(予防接種チェック表もついているので便利です!)
百日咳ワクチンの免疫効果は、4~12年で低下し、接種後数年経つと感染リスクが高くなることが知られています。日本では百日咳に対する定期予防接種4回が2歳までに終わっているため、学童から青年、成人の間で百日咳が蔓延していることが問題になっています。
欧米では、4~6歳に1回追加、11~18歳で1回追加と、合計6回が定期接種となっています。
特に、感染すると重症化し、肺炎や無呼吸発作によるチアノーゼ、けいれん、脳症などの深刻な状況に陥るリスクが高いのは、生まれてから生後5か月までの赤ちゃんです。そこで、赤ちゃんへの百日咳ワクチン接種は生後3か月から乳児に接触する可能性のある人(家族、妊婦、医療従事者など)には、追加接種が強く推奨されています。
現時点では、「3種混合ワクチン」と「ポリオワクチン」の両方が入っている「4 種混合ワクチン」単独で代用することは治験の実績がなく、厚労省が承認していないので、入学前には「3種混合ワクチン」と「 ポリオワクチン 」を同時に受けることになります。
また、10歳以降にも3種混合ワクチンを任意で追加接種すると、百日咳の抗体が再度高まり、合計6回の接種を受けることによって、百日咳に対する免疫が長期にわたって維持できます。
【この記事を書いた人】医学博士 中野康伸
横浜市生まれ、自治医科大学卒
・日本小児科学会専門医
・日本アレルギー学会専門医
・日本東洋医学会専門医
横浜市港北区で小児科専門医として、地域に根差した診療を行っています。「病気・症状何でもQ&A」のコーナーでは、一般の方にも分かる最新の医学知識や予防接種の情報、育児・発育の心配な事、救急時の対応など、様々なトピックを掲載しています。