百日咳(ひゃくにちぜき)

百日咳菌と呼ばれる細菌による感染症で、1年を通じて流行します(横浜市では春に流行することが比較的に多いと報告されています。)2歳以下の乳幼児に感染することが多く、この病気に対する免疫はお母さんからもほとんどもらえないので、新生児でも感染します。

主な症状

感染者の咳が空気中に飛散して、それを吸い込むことによって感染します。潜伏期間は7日~10日前後で、はじめはカゼと同じような症状(咳、鼻水、微熱)で始まりますが、一向に良くならず、次第に咳が強くなってきます。

発症後、1~2週間すると「コンコンコン」という咳を5~10回ほど立て続けにして、息を吸い込む時に「ヒューッ」という音がする発作を繰り返す百日咳に特有の咳(レプリーゼ)が見られます。

生後6ヶ月未満の乳児が感染すると、百日咳に特有の咳が見られないことがあり、突然呼吸困難に陥ってチアノーゼを起こすことがあるので要注意です。夜間に咳き込むことが多く、粘りのある痰が出ます。咳がひどくて嘔吐したり、眠れなくなったりしますので、脱水症状を起こしたり、体力を消耗します。

通常は、抗生物質の服用で3~6週間ほどすれば落ち着いてきますが、完全に治癒するまでには10週間前後の長い期間がかかります。症状に応じて、咳止めを処方したり、吸入、気管支拡張剤を使って呼吸を楽にしてあげます。

6ヶ月未満の乳幼児がかかった場合は、呼吸が止まったりして状態が急変することがありますので入院が必要となることが多いようです。この点、給仕細気管支炎(RSウィルス感染症)と似ています。

主な合併症

肺炎中耳炎、百日咳脳症などが多くみられます。

家庭でのケア

空気が乾燥していたり、寒すぎたりすると咳が出やすくなりますので、部屋の温度を20度、湿度を60%前後に保って、咳を誘発しないようにしましょう。また、激しく咳き込んで嘔吐することがありますので、一度にたくさん食べるのではなく、消化のよいものを少しずつ回数を分けて食べるようにしましょう。百日咳特有の咳が出なくなるまでは登園・登校は控えます。

ワクチンの接種

百日咳は非常に感染力が強く、免疫のない人は70%以上の確率で感染します。DPT(ジフテリア・百日咳・破傷風)の3種混合ワクチンが有効ですので、生後3ヶ月を過ぎたら、脳症などの合併症を予防するためにも早めにワクチンの接種をしておきましょう。