アレルギーの遺伝

私は20年来の花粉症との付き合いですが、特にアレルギー性鼻炎の症状がひどいです。現在、2歳になる子供がいるのですが、1昨年あたりから季節の変わり目にくしゃみや鼻水が目立つようになりました。さほどひどくはなかったので病院に連れて行ったことはないのですが、私と同じではないかと心配です。花粉症は遺伝するものでしょうか?

アレルギーというのは、明らかに遺伝が大きく影響します。

両親ともに花粉症などのアレルギーを持っている場合と、一方の親だけがアレルギーを持っている場合を比較すると、前者のほうがなんらかのアレルギーの素因をもったお子さんが生まれるリスクが高くなることは、数多くの研究や調査で明らかになっており、私も日常診療で実感しています。

アトピー性皮膚炎気管支ぜんそくアレルギー性鼻炎アレルギー性結膜炎は、「アレルギー4大疾患」といわれていますが、その特徴として「アレルギーマーチ」という現象があります。

乳幼児の頃から湿疹やアトピー性皮膚炎が発症し、幼稚園から小学校に入学するぐらいに、ぜんそくが出るようになり、中学生になってぜんそくがおさまったかと思うと、今度は鼻炎が出るというように、成長とともに症状が進行していくのです。

「子供の頃ぜんそくだったんだけど、中学生になって今は鼻炎で苦しんでいます」と受診する患者さんがよくいらっしゃるのですが、このようにアレルギーというのは、常に「出場所」を見つけようとしているのがやっかいなところです。

最近の傾向は・・・

ところが、近年はこれまでアレルギー症状を経験したこともないのに、成人になって突然アトピーが出たり、くしゃみや鼻づまりなど鼻炎症状がひどくなるケースが目立つようになりました。

アレルゲンとしては、スギに代表される花粉ハウスダストといった環境要因に加えて、受験、就職や失業の悩み、職場の人間関係、恋愛問題など、社会的ストレスも原因としてあげられます。

コンビニ中心の不規則な食生活、深夜に及ぶ無理な残業など、生活のリズムの乱れも影響しているといえるでしょう。

現在は有効な抗アレルギー治療薬がたくさん出ていますので、当クリニックで相談しながら症状に合った薬剤を服用すれば、たいていの症状はおさえることができます。

私は小青竜湯など漢方薬と併用した処方を行っていますが、使い方によっては大きな効果が出ています。

アレルギーの予防、治療

ご両親がアレルギーをお持ちの場合、お子さんに湿疹が出たり、ぜーゼーという異常な呼吸音、鼻水がなかなか止まらないなど鼻炎の初期症状が見受けられたら、一度当クリニックを受診されたほうがよいでしょう。早期発見、早期治療が肝心です。

通年性の場合は、ダニやハウスダストなどアレルゲンが一年中存在するわけですから、環境改善が大切です。ただ、血液検査である種の抗体が陽性だからといって、それらすべての物質に対して症状が出るとは限りません。

もしお子さんがアレルギーであれば、室内の掃除をマメに行い、空気清浄機などを備えることもアレルゲン回避のポイントになるでしょう。

ペットの毛も原因になりますので、できれば飼わないことをおすすめします。

外出先からもどったら必ず玄関前で髪や衣服についたホコリなどを落とす習慣をつけさせて、帰宅後は早めに入浴させることも予防につながります。  

*本文は、「健康ナビ」2003年アレルギー特大号に掲載された記事より抜粋しています