漢方の専門医です。
当院では、お子さんの症状に合わせて漢方薬を処方することが比較的多くあります。ひと昔前までは、「漢方薬はお年寄りの薬」というイメージがありましたが、最近では赤ちゃんにも処方されることが多くなってきています。
漢方薬は、葛根や麻黄、生姜など、効能のある自然の生薬を使って作られるものですので、より自然に近い薬だと言えます。しかし、種類によっては、その人の体質によって効き目が出ない場合もあります。漢方薬を処方された場合は、効能や薬の飲み合わせなどをよく確認して、正しく服用して下さい。
当院でよく処方する漢方薬
- 麻黄湯:風邪のひき始めに効果があります。頭痛、鼻詰まりがある時にも処方します。
- 葛根湯:風邪のひき始めに効果があります。
- 小青竜湯:鼻水が多い時などに効き目があります。
- 甘麦大棗湯:夜泣き、ひきつけなどに効き目があります。
- 五苓散:下痢、嘔吐などに効き目があります(嘔吐下痢症など)。
- 麦門冬湯:咳込みが強く、特に痰が切れない時によく使います。味も良く飲みやすい漢方の代表です。
漢方薬の上手な飲ませ方
漢方薬の難点は味が一様に苦いということです。特にお子さんに飲ませるには味を隠すような工夫が必要でしょう。
- ヨーグルトやプリン、ジャムなど好きな食べ物に混ぜる。
- 酸味の少ない甘い飲み物に混ぜて飲ませる。
- 顆粒が大きく、溶けにくい漢方薬の場合は、熱湯でしっかり溶かしたり、電子レンジで熱してから冷まして与えてもOKです。
- 単シロップ(薬局で市販されています)がは甘いうえに、トロッとしているので漢方薬の顆粒が絡まりやすく使いやすいでしょう。
子供用かぜ薬、宇津救命丸などは効きますか?子供用漢方薬ってあるんですか?
処方箋がなくても薬局で買える子供用のお薬には、症状を一時的に抑える薬が入っているので、服用直後は一見よくなったように見えることもありますが、症状を無理に抑えてしまうので、かえって悪化させてしまうことがあります。
漢方は本物だったら効果はありますが、体質、症状による使い分け、量の調節など、難しいので、症状が続く場合には、クリニックにご相談ください。
【この記事を書いた人】医学博士 中野康伸
横浜市生まれ、自治医科大学卒
・日本小児科学会専門医
・日本アレルギー学会専門医
・日本東洋医学会専門医
横浜市港北区で小児科専門医として、地域に根差した診療を行っています。「病気・症状何でもQ&A」のコーナーでは、一般の方にも分かる最新の医学知識や予防接種の情報、育児・発育の心配な事、救急時の対応など、様々なトピックを掲載しています。