5月になって気温も上がり、ピクニックや行楽など、外へ出かける機会が多くなる季節になりました。しかし、よいお天気に誘われて、屋外へ出かけるときに忘れてはならないのが、紫外線対策です。
紫外線は1年のうちで4月ごろから強くなりはじめ、6月~8月にかけてピークを迎えます。全く無防備な格好で、長時間太陽の下に居ると、皮膚がやけどしたように赤く膨れあがったり、赤くかゆみを伴う湿疹が出たり、頭が痛くなったり、ひどい場合は発熱や嘔吐を引き起こしたりすることもありますので、しっかりと紫外線対策するように心がけましょう。
紫外線って何?
紫外線は、太陽光線のひとつで波長の長さによってA、B、Cの3つのタイプに分かれます。このうちA紫外線は、オゾン層に吸収されずに肌の奥深くまで浸透して線維を破壊し、シワ、たるみを引き起こします。B紫外線は、オゾン層でほとんど吸収されてしまいますが、一部は地表に到達し、皮膚の炎症やシミ、ソバカスを引き起こします。
紫外線は体に必要なもの?
紫外線は、適度な量を浴びるなら体にとって良い影響を与えます。例えば、紫外線は骨の発達に必要なビタミンDの生成を促進する働きがあり、血液の循環を良くする効果もあります。しかし、適度な量というのは、真夏の日中に数分間浴びれば足りてしまうほどの短い時間で、それ以上になると今度は悪影響の方が心配されます。日常生活ではなるべく紫外線を避けることに気を配ったほうがよいと言えるでしょう。
紫外線による悪影響とは?
紫外線には、強い殺菌効果があるのをご存知ですか?例えば、布きんやまな板を日光消毒したり、院内スリッパを紫外線で消毒殺菌している病院もあったりします。しかし、殺菌効果が強いということは、裏を返せば細胞を破壊するほどの強い力があるということです。
紫外線を長時間浴び続けると、皮膚細胞の遺伝子が傷つけられて皮膚ガンの一因となったり、皮膚の免疫力が低下して細菌やウィルスに感染しやすくなったり、体調を崩したりする恐れがあります。また、紫外線は眼にも影響を及ぼし、角膜に炎症を起こしたり、白内障の原因になることもあります。
家庭でのケア
- 紫外線のピーク時間帯の外出は避ける
1日の中では、10時~14時が最も紫外線が強いとされています。この時間帯の外出はなるべく控え、赤ちゃんを散歩に連れていくなら出来るだけ朝夕の時間帯にするようにしましょう。
赤ちゃんにとって必要なのは、有害な紫外線にさらされる日光浴ではなく、外の空気に触れて皮膚を鍛錬することのできる外気浴です。できるだけ直射日光を避けて、木陰などをうまく利用しながらお散歩するようにしましょう。 - 外出時には、帽子と日焼け止めクリームで保護
出かける時は、なるべくひさしの大きいタイプの帽子を被って、顔や眼を保護しましょう。
赤ちゃんや子どもは、大人よりも皮膚が弱いですので、こまめに日焼け止めクリームを塗ってあげるようにしましょう。
日焼け止めクリームに表示されているSPF値はB紫外線から肌を守る効果を表し、SPF値が高ければ高いほど、日焼けを防ぐことのできる時間が長くなります。(例えば。SPF15だと20分×15=300分の間、日焼けを防ぐ効果があります) - ビタミンCをたくさん摂る
メラニンの生成を抑える効果のあるビタミンCを多く摂るように、アセロラやオレンジ、キウイなどの南国フルーツを普段から食べるように心がけましょう!
もし日焼けになってしまったら?
炎天下で短時間に日焼けすると、皮膚が炎症を起こして赤くはれ上がったり、かゆみをともなう湿疹が出来たり、水疱になってしまったりします。
日焼けした皮膚は、冷水で冷やして、火照りや痛みを和らげます。また、軽い脱水症状を起こしていることがありますので、十分に水分補給して下さい。水疱は、つぶすとそこからばい菌が入ってしまいますので、つぶさないようにして受診して下さい。
気象庁のホームページで紫外線情報を見ることができます。
【この記事を書いた人】医学博士 中野康伸
横浜市生まれ、自治医科大学卒
・日本小児科学会専門医
・日本アレルギー学会専門医
・日本東洋医学会専門医
横浜市港北区で小児科専門医として、地域に根差した診療を行っています。「病気・症状何でもQ&A」のコーナーでは、一般の方にも分かる最新の医学知識や予防接種の情報、育児・発育の心配な事、救急時の対応など、様々なトピックを掲載しています。