ペット由来感染症

最近ペットを飼っている家庭が多くなり、それと同時にペットから感染する病気にかかる人も増えてきました。
室内飼いで家族の一員として仲良く接しているでしょうが、ペットから感染する病気があることも知っておきましょう。ここでは代表的な感染症を取り上げます。

猫が原因の感染症

トキソプラズマ症

猫の体内に寄生する「トキソプラズマ」という原虫が、フンに混じって排出されると、そのフンから感染性のある物質が乾燥して空気中に舞い、それを吸い込むことで感染します。発病すると、発熱したりリンパ腺が腫れたりします。特に注意したいのは、妊婦さんが感染すると、胎児に影響が出ることです。妊娠初期に感染すると、流産のリスクが高くなります。また妊娠中期以降に感染すると、胎児に先天的な異常(目の病気や精神運動障害)が出ることがあります。猫を飼っている方は、フンが乾燥するまで放置せずに、すみやかに処理するように心がけましょう。

ねこひっかき病

ねこにひっかかれたり、かまれた時の傷口から、バルトネラ菌が体内に侵入します。また、ねこについているノミにかまれることで感染することもあります。
感染後1週間くらいで虫刺されのような発疹が出て、その後2~3週間のうちに発熱、腋の下のリンパ節の腫れといった風邪に似た症状が現れます。
通常は自然に治りますが、 ごくまれに脳炎などの重篤な症状が起こることがあります。その場合は、抗生物質の服用で対処します。
ねこにかまれたり、ひっかかれたりしたら、すぐに傷口を洗って、消毒しましょう。また夏の時期はノミが発生しやすいので、きちんとノミの除去対策をしておいてあげましょう。

犬が原因の感染症

回虫症

特に子犬の小腸に寄生している回虫が卵を産み、それがフンと混じって排泄されると、そのフンを介して感染します。特に子供に感染して体の内蔵に入り込むと、発熱、喘息、肺炎、視力・視野障害がおこる可能性があるので、要注意です。

パスツレラ症

犬や猫の大半が口の中に保菌しているため、飼い主さんとキスする習慣があるようなご家庭では注意が必要です。
感染すると、咳が出て、副鼻腔炎や気管支炎になる場合もあります。
抗生物質が良く効きますので早期の治療が肝心です。

レプトスピラ症

犬の尿に排泄される菌で、感染すると発熱、結膜炎などの症状が現れます。
まれに重症化して出血、黄疸が出た場合は早期に治療しないと20~30%の確率で死に至ることがあります。
たとえば公園の芝生の上でピクニックする際には、シートを敷いて、直接芝生には触らないようにするとか、お弁当を食べる前には必ず手洗いするようにしましょう。

鳥が原因の感染症

オウム病

インコ類の鳥のフンに存在するオウム病クラミジアという細菌が、乾燥したフンから空気中に舞い、それを吸い込むことで感染します。また、口移しでエサを与えていると感染します。1~2週間潜伏した後、突然の発熱、全身の倦怠感といったインフルエンザに良く似た症状が出ます。抗生物質がよく効くので、早めの治療が大切です。

サルモネラ腸炎

ウサギ、ハムスター、鳥、カメ、爬虫類などの排泄物で汚染された水から感染します。感染するとひどい下痢や腹痛、発熱が症状となって現れます。特にミドリガメを触った手を洗わずに、その手から経口感染して発病した子どもが多数出たことで一時話題になったこともあります。