子どもが関節を痛がるのは、単なる「関節痛」の一言では説明できないほど、さまざまな原因があります。
まだ言葉で「痛み」を伝えられない乳幼児の場合は、普段と違う、様子がおかしいというサインを見逃さないことが大切です。 オムツを替えるたびに泣く、特に理由もなさそうなのに機嫌が悪くずっと泣いている、抱っこの仕方によって泣く、などは、「痛み」のサインかもしれません。
例えば、痛がっている部分を「強く打った」、「ひねった」、「何かにぶつけた」、「変な曲げ方や姿勢で長時間座っていた、寝ていた」など何か外傷的な原因が思い当たるのであれば、捻挫、骨折、筋肉の炎症の可能性が高いでしょう。
しかし、次のような症状がある場合は、思わぬ病気が潜んでいる可能性があります
- 同じ部分を毎日、何週間も痛がっている(オムツを変えるたびに泣く)
- 足をひきずって歩く
- 痛みのある部分を動かさない(歩かなくなった、遊ばなくなったなど)
- 痛がる部分が腫れている(腫脹)
- 痛がる部分が熱を持っている(熱感)
- 痛がる部分の皮膚が赤くなっている(発赤)
- 圧すと痛がる(圧痛)
上記のような症状があれば、早めに受診することをお薦めします。
可能性のある病気
ウィルス感染による股関節の腫れ、股付け根の血行障害など
化膿による関節炎、骨髄炎の可能性(早急な手術が必要)
小児関節リウマチ、悪性腫瘍(骨肉腫・白血病など)
さまざまですが、まずは問診、触診したのちに、必要に応じてレントゲン、MRI、エコー、血液検査を行って診断します。
成長痛
特に外傷もなく、膨張、熱感、発赤、圧痛があるわけでもないのに、足を痛がる場合がありますが、これはいわゆる「成長痛」の可能性が大です。
成長痛という名前を聞くと、まるで成長とともに骨が太く長くなることで関節痛が出るのか?と勘違いするのですが、実は、骨の成長が原因で関節に痛みが出るわけではなく、いまだに原因ははっきりわかっていない関節痛です。
特徴的なのは:
- 約8割が夕方~夜間に、足の付け根から膝、足先に痛みを感じる(朝、昼間はケロッとしていることが多い)
- 2~14歳(特に3~5歳)によくみられる
- 長くても8時間以内、通常は数時間以内に収まる
- 腫れはない
- 痛みはあるものの、全然動かせないといったことはない
成長痛の場合は、レントゲンをとっても異常はみつかりません。また、成長とともに自然に治ってくるものなので、特に心配はありません。
【この記事を書いた人】医学博士 中野康伸
横浜市生まれ、自治医科大学卒
・日本小児科学会専門医
・日本アレルギー学会専門医
・日本東洋医学会専門医
横浜市港北区で小児科専門医として、地域に根差した診療を行っています。「病気・症状何でもQ&A」のコーナーでは、一般の方にも分かる最新の医学知識や予防接種の情報、育児・発育の心配な事、救急時の対応など、様々なトピックを掲載しています。