
みなさんは、子供のころに水ぼうそうにかかったことがありますか?水ぼうそうにかかったことのある人の場合、そのウィルスが体内の神経細胞に潜伏し続けていることをご存じでしたか?
大人になってから、風邪をひいたり、不規則な生活や、疲労、寝不足、ストレスなどによって抵抗力が落ちている時に、この水ぼうそうのウィルスがムクムクと活性化して、神経細胞の中で増殖し、水ぼうそうと似たような症状を起こすことがあります。赤い水ぶくれのようなブツブツが背中や腰などに帯状に現れ、衣服がこすれるだけでも激痛が走ります。これが帯状疱疹です。
帯状疱疹は、体の片側に帯状に水疱が広がる点が特徴です。神経細胞に沿ってウィルスが増殖するので、神経の流れる方向に帯状に水疱が出来ます。刺すようなピリピリした強い痛みを伴い、ゴムの部分が当たるのが痛くて下着が着れなかったり、洋服も擦れて痛いような場合もあります。
帯状疱疹の治療方法
帯状疱疹は、ウィルスが原因ですので、これを抑え込む薬にアシクロビルなどの抗ウイルス薬があります。
抵抗力が弱っていることが病気の引き金になっていますので、基本的には、安静にして、栄養を摂り、しっかり休養して、自分の体が抵抗力を回復するのを待つことも重要です。水疱が擦れて痛みがひどい場合は、内服薬で鎮痛剤を処方します。
また、水疱には、処方された軟膏を塗って、なるべく潰さないように注意しましょう。水疱がつぶれて化膿したり、皮膚がただれて痛いといったような症状がなければ、入浴してもかまいません。
帯状疱疹は、他人に感染することはほとんどありませんが、水ぼうそうになったことのない子供に症状が出ることがありますので、不用意に近づくのは避けたほうがいいでしょう。
帯状疱疹にならないために
水ぼうそうのワクチンは、水ぼうそうの感染を予防するという効果以外にも、帯状疱疹の発症を抑えるという効果があります。昔、ワクチンを受けていたとしても、ワクチンの効果は20年くらいで薄れてしまいます。
帯状疱疹は、一度発症すると、何カ月といった単位でひどい神経痛が続き、長引くとつらい病気なので、できればワクチンをもう一度、成人になってから受け直しておくことをお勧めします。
任意接種で、当クリニックでいつでも接種可能ですのでご相談ください。

【この記事を書いた人】医学博士 中野康伸
横浜市生まれ、自治医科大学卒
・日本小児科学会専門医
・日本アレルギー学会専門医
・日本東洋医学会専門医
横浜市港北区で小児科専門医として、地域に根差した診療を行っています。「病気・症状何でもQ&A」のコーナーでは、一般の方にも分かる最新の医学知識や予防接種の情報、育児・発育の心配な事、救急時の対応など、様々なトピックを掲載しています。