子宮頸がんワクチン

現在、日本国内で使用できるHPVワクチンは、サーバリックス(2価HPVワクチン)、ガーダシル(4価HPVワクチン)、シルガード9(9価HPVワクチン)の3種類がありますが、令和5年4月より、9価ワクチン(シルガード9)を公費で受けられるようになります。

全ての女性の80%が一生のうち一度は感染するHPV

子宮頸がんとは、子宮の入り口(子宮頸部)にできるガンです。 日本では約3,000人近くが死亡しています。初期症状はほとんどなく、発見が遅れると、子宮を全摘出しなければならないため、妊娠や出産ができなくなってしまいます。

子宮頸がんの原因となるのが、HPV(Human Papillomavirus;ヒトパピローマウィルス)と呼ばれるウィルスへの感染です。これは、主に性交渉によってヒトからヒトへ感染します。特別なウィルスではなく、性交渉がある人なら、誰でも感染するリスクがあります。多くの場合は、HPVは自然に膣外に排出されるのですが、10%前後の確率で留まり、細胞内に入り込んで悪性化し、ガンを発症します。HPVの中でもガン化するリスクの高い型(発がん性のあるハイリスクHPV)には、13~15種類の型がありますが、全世界的に感染率とガン発症率が最も高いのが、16型と18型です。この2つの型への感染を予防できるのが「子宮頸がん予防ワクチン」です。ワクチンを接種すれば、性交渉による16型と18型への感染を100%防止することができます。

2009年に日本でサーバリックスが発売されましたが、2011年8月には、尖圭コンジ ローマの原因となる6型や11型も予防できるワクチン「ガーダシル」が発売されました。このワクチンを接種すれば、子宮頸がんのリスクとなる16型と18型だけでなく、尖圭コンジローマへの感染を100%防止することができます。

子宮頸がんは、ワクチンと定期検診で予防できる病気です

子宮頸がんを予防できるワクチンは、子宮頸がんの原因となるHPVが性交渉によって感染することから、初交前の接種が最も効果的です。子宮頸がんワクチンを接種すれば、発がん性の高いHPVへの感染や尖圭コンジローマの原因となるウィルスへの感染をを100%防ぐことができます。また、すでにお子さんをお持ちのママたちでも、新たにHPVに感染するリスクをなくすことができますので、今からでも遅くはありません。

ワクチン接種の重要性

子宮頸がん予防ワクチンは、 平成25年4月からは予防接種法に基づく定期予防接種となりましたが、因果関係は不明ながら、接種後に持続的な痛みを訴える重篤な副反応が報告され、同年6月14日に厚生労働省が接種の積極的勧奨を差し控えていました。 しかし、ワクチン接種が控えられてからの7年の間に30歳から40歳の子育て世代をピークとして、日本で年間約2,700人から3,000人の女性が子宮頸がんで尊い命を落としました。(令和3年11月12日には、このワクチンに問題がないとして、正式に「積極的勧奨」戻すことを決定しています)

国立がんセンターの垣添名誉総長が読売新聞で「マザーキラー」と言われる子宮頸がんの根絶にはワクチンがとても重要と述べられ、ノーベル医学生理学賞の本庶佑先生も受賞記念のスピーチで、子宮頸がんワクチン接種が進まない日本の悲しい現状を世界に訴えています。

この様な現状をお知りになりたい方は、YOKOHAMA HPV PROJECTのホームページをご覧になると参考になります。

ワクチンの接種を希望する場合

●対象:小学6年生~高校1年生相当

本来であれば、高校1年生までが公費の対象者ですが、高校2年生、3年生になる未接種な方も、特別措置で公費対象になっています。最寄りの福祉保健センターで手続きを行って下さい。

子宮頸がんワクチンについて、詳しくは厚生労働省のパンフレットも参考にしてください。

シルガード9のワクチンを受ける場合

シルガード9のワクチンは、16型、18型、31型、33型、45型、52型、58型のHPVおよび尖圭コンジローマ(6型, 11型)への感染を予防します。

サーバリックスやガーダシルとの違いは、数多くある子宮頸がんの原因ウイルス(HPV)のうち、31/33/45/52/58型に対しても予防効果があり、90%以上の感染予防が期待される点です。

9歳以上の女子は接種可能です。通常は1回目の接種の2か月後に2回目、6か月後に3回目(合計3回)を接種しますが、9歳以上15歳未満の場合のみ、1回目接種の6~12ヵ月後に2回目を受ける合計2回のみの接種も可能です。

注意事項

ワクチンを受けるに際し、13歳以上のお子さまでも原則保護者の同伴が必要ですが、保護者の同意が事前に得られた場合は、「保護者の同伴なしでも」接種できます。

接種時には、母子健康手帳の他に、横浜市に住所があることを確認するため本人・保護者の健康保険証や運転免許証、学生証等をお持ち下さい。

また、子宮頚がんワクチンの接種の際、親の同意署名があり、一度予診票をクリニックに取りにこないと出来ませんが、保護者の都合で同伴できない場合、予診票は横浜市保健所のホームぺージからもダウンロードすることができます。それも使用可能とします。

子どもたちに知ってもらいましょう

欧米では、小学校5~6年生くらいから学校でHPVや子宮頸がんについて教えています。またカナダやイギリス、オーストラリアでも同様に、教育関係者向けにHPVを紹介する資料を作成、提供したり、テレビや映画館などのメディアを通じて、ワクチン接種を勧告するメッセージを流すなど、女子が「がん予防」の重要さを早期に理解することを積極的に啓もうしています。

日本では、性教育に関して消極的な面があり、性感染症が原因となる子宮頸がんについては、必要以上に話題にしない風潮がありますが、これからは医療従事者だけでなく、マスメディアを使って、より多くの女性にワクチンの効果を知ってもらい、「子宮頸がんは予防できる病気だ」ということを理解してもらうことが大切です。

最近は、このワクチンの大切さを 学校の保健授業で 多くの生徒さん達が学び始めたそうで、接種希望者が増えています。

厚労省は、子宮頸がんワクチンの定期接種対象者及びその保護者に、きちんとその必要性の判断をして頂くために、リーフレットを改訂しました。これまでの考え方から、「国民の皆さんの判断で、定期接種が出来ますよ」という内容になっています。 詳しくはこちらをお読みください。ワクチンで予防できる病気で、若い尊い命を落とさないようにしましょう‼