ポリオワクチン

ポリオとは、正式には急性灰白髄炎(きゅうせいかいはくずいえん)または脊髄性小児麻痺(せきずいせいしょうにまひ)といって、ポリオウィルスが血液を介して脳・脊髄に入り込み、運動神経を破壊して手足のマヒを引き起こす病気です。

こうした手足のマヒが出る確率は約0.1%と非常に稀ですが、こうなってしまうと有効な治療法はありません。

また合併症で呼吸障害になり死に至るケースもあります。 かつては毎年何千人もの人が感染し、5人に1人の割合で死亡していた恐ろしい病気でしたが、1961年にポリオワクチンの経口生ワクチンが輸入されて接種が始まって以来、患者は激減し、1981年から現在に至るまではポリオの自然発生率はゼロになりました。

日本では、これまでポリオの生ワクチン(生きたウィルスを1000倍近くに弱毒化した甘いシロップのようなものを口から飲むことによって接種し、喉や腸の中で弱毒性ウィルスが増殖し、ポリオウィルスに対する免疫抗体方法)を行ってきましたが、生ワクチンが原因で実際に感染してしまった事件があり、2012年からは不活化ワクチン(生きたウィルスを不活化し注射する方法)に変更されました。

現在では四種混合ワクチン(ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオの4種類が入ったワクチン)として定期接種(公費負担)で受けられます。

小学校入学までにもう一度ポリオワクチンを受ける重要性

ポリオを治すための特効薬はありません。麻痺が残ってしまっても、それを改善するにはリハビリしかなく、完全に治ることはありません。

ポリオの自然発生がなく、ワクチンからの2次感染だけが原因ならば、なぜワクチンを受ける必要があるのか?という質問をよく受けます。理由は、もしワクチンの接種を止めてしまったら、海外からウィルスを持ち込まれた場合に、国内で再びポリオが大流行する危険性があり、それを未然に防ぐためです。

海外、特にアフガニスタン、ナイジェリア、パキスタンなどの国では、毎年ポリオが自然発生して流行しており、その他ワクチン由来のポリオウィルスに感染した人のいる国々も合わせると、年間約54,000人もの旅行者が日本に入国しています。ポリオに対する免疫を持たずに万が一感染して発症してしまったら、有効な治療方法は一切ありません。有効な治療法がない今は、ワクチンを受けて感染を予防するしかないのです。そこで唯一の手段が、ポリオにかからないこと、つまり予防接種で感染をふせぐことです。特に大人になってから海外旅行先で感染すると、重篤になり、麻痺を起こす可能性が高くなるといわれています。

定期接種は生後3か月から受け始めて、3~8週間の間を開けて3回接種し、1歳を過ぎて初回免疫終了後、6か月以上たったら1回追加接種します。(令和5年4月からは生後2か月から接種できるようになります)

しかし、不活化ワクチンによるポリオに対する抗体(免疫力)は、接種から時間がたつにつれて低下していくことが知られています。抗体価が低下すると、免疫力が低下してポリオに感染するリスクが高まります。

そこで感染予防のための抗体を上げる為に、もう一度4歳から6歳で追加接種を受けることが重要である事がわかっており、既にこの時期のワクチン接種を多くの先進国では義務として行われています。

ぜひ、4歳から6歳、つまり保育園、幼稚園の年少から年長の間にポリオ追加接種を受けましょう。

詳しくは、お気軽にスタッフにご相談下さい