
ロタウィルスは毎年大流行する嘔吐下痢を主な症状とする病気です。
ロタウィルスの感染によって起こる腸炎で、ウイルスのついた唾液や便を介して感染します。 毎年、11月ごろから流行し、1~2月にピークを迎え、4月ごろにはおさまることが多いようです。
急な嘔吐や下痢から始まることが多いのですが、初期に風邪のような症状がみられることもあります。 激しい嘔吐が起こり、水状のサラサラした白っぽい下痢便が何度も出ます。嘔吐はほとんどが1~2日でおさまりますが、下痢は1週間ほど続きます。熱は出る場合も出ない場合もあります。まれに合併症として、脳炎、脳症、けいれんなどが起こります。
こんなときは急いで受診!
下痢はしていても、機嫌がよくて水分も摂れているなら様子を見てから受診するかどうか判断しても大丈夫ですが、以下のような症状が出ている場合は、至急点滴などが必要な場合があるので、すみやかにクリニックを受診してください。
- 水分を受け付けない
- 目が落ちくぼんでいる
全身状態が悪く、ひきつけを起こしたり、意識がはっきりしない場合は、大至急受診を!
家庭でのケア
糞口感染(ふんこうかんせん)といって、うんちを触った手を口へもっていくことで感染が広がっていきます。赤ちゃんのおむつを取り替えたときなどは、必ず手を洗うことが大切です。
オムツかぶれを予防するために、家庭ではこまめにお尻を洗ってあげましょう。しばらく食事はやめて、イオン飲料水や麦茶、湯冷ましなどでゆっくりと(口からの点滴のつもりで)水分補給しましょう。
なお、大人用のイオン飲料は糖分が多すぎるので、湯冷ましで薄めるか小児用を使うのがよいです。柑橘系のジュースは吐き気を刺激するので避けましょう。
食事は、便の量、回数が最悪期の半分くらいになったころ(通常は2~3日後)から再開します。乳幼児の場合、絶食して2~3日で体重が激減するようなことはありませんので、食事の再開は焦らなくても大丈夫です。

【この記事を書いた人】医学博士 中野康伸
横浜市生まれ、自治医科大学卒
・日本小児科学会専門医
・日本アレルギー学会専門医
・日本東洋医学会専門医
横浜市港北区で小児科専門医として、地域に根差した診療を行っています。「病気・症状何でもQ&A」のコーナーでは、一般の方にも分かる最新の医学知識や予防接種の情報、育児・発育の心配な事、救急時の対応など、様々なトピックを掲載しています。