過敏性腸症候群(IBS)

ウィルス性の胃腸炎や嘔吐・下痢症といった感染症にかかっている訳ではなく、また大腸に炎症があったり、潰瘍や内分泌異常もないのに、下痢や便秘、お腹が張る、腹痛といった症状を数か月以上繰り返している場合、過敏性腸症候群(IBS)の可能性があります。現代のストレスの多い社会で増加傾向にある症状です。

過敏性腸症候群(IBS)には3パターンあります。「慢性下痢型(神経性下痢)」の場合は、腹痛とともに下痢が1日に何度も起こります。例えば、「電車やバス、車に乗って移動する」「教室でテストを受ける」など、すぐにトイレに行くのは難しいような環境になると、途端に緊張と不安に襲われて下痢になり、排便すると症状が和らぎます。お出かけ前にトイレにこもって排便し、下痢止めの整腸剤を飲んで出かけることで精神的な安心感を得たいという方もいます。「便秘型」の人は、排便が週に3回以下で、排便時に腹痛を伴い、排便してもコロコロとした便通で残便感が続きます。「不安定型(交代制便通異常)」の方は、下痢と便秘を交互に繰り返します。男性は下痢、女性は便秘になるのが多い傾向があると言われています。

原因

過敏性腸症候群は、ストレスや自律神経失調、過労や睡眠不足、不規則な生活などが原因で、腸の収縮運動が激しくなり、知覚過敏になることが原因だと考えられています。脳は腸の動きをコントロールして、便を排出するための収縮運動を促します。脳が不安や緊張などの強いストレスを感じると、自律神経の内分泌が異常になり、腸の収縮運動が激しくなって下痢をしたり、逆に収縮運動が鈍くなって便秘になります。

治療法

まずは、ガンなどの重篤な病気でないことを確認するために、内視鏡検査、血液検査、尿検査、便潜血などの検査を受ける必要があります。器質的な疾患がなく、過敏性腸症候群と診断された場合は、生活改善と服薬による治療を行います。過敏性腸症候群の3タイプのうち、どれに当たるのかを診断した上で、整腸剤や下痢止め、便秘の方には便を柔らかくする薬を処方します。整腸効果だけではなく、気持ちを落ち着けることが一緒に出来る漢方薬も有効です。

また、暴飲暴食しない、香辛料などの刺激物を控える、脂っこいものを控える、といった食事改善、十分な睡眠をとること、適度な運動、そして何よりもストレスの原因となっていること(受験、人間関係、仕事、生活環境など)を解消していくことが大切です。

下痢や便秘が長く続いている方は、我慢せずに早めにクリニックにご相談ください。