風疹は、空気中の風疹ウィルスが喉や鼻から入って飛沫感染する感染症です。冬から春にかけて流行することが多いので、まだ予防接種を受けていない方には、早めの接種をお勧めします。
麻疹に比べると感染力は弱いため、風疹にかかっている人と接触しても感染しないこともあります。また、かかっても症状が軽く、風疹だったことに気がつかないうちに治ってしまうこともあります。
しかし、大人になってから、風疹の抗体を持たない女性が妊娠中に感染してしまうと、胎児が先天性風疹症候群(先天性心疾患や白内障、難聴などの先天異常)になる恐れがありますので、注意が必要です。2004年、西日本の一部で大流行があり、この先天性風疹症候群が発生してしまいました。今後の拡大が懸念されています。
症状と対処
潜伏期間は14~21日で、主な症状としては、耳のうしろや首のうしろのリンパ腺が腫れたり、麻疹によく似た赤い発疹(斑状丘疹)が顔から現れはじめ、24時間以内に手足へと広がっていきます。
風疹は、俗に「三日ばしか」と呼ばれるように、3日くらいで熱も下がり、発疹も3日前後で跡を残さずに消えてしまいます。発熱しない人の方が多く、熱が出ても37.5度前後の軽度で済みます。
合併症としては関節痛や関節炎が多く、まれに血小板減少性紫斑病や脳炎を起こすことがあります。
風疹はウィルス感染症なので特効薬はありません。基本的には症状に応じてお薬を使う対症療法になります。
尚、風疹の疑いがある場合には、院内感染を防ぐために、ご来院される前に必ず受付にお電話にてご相談下さい
家庭でのケア
風疹は、軽い風邪を引いたような症状で済むことが多いので、元気があるならば無理に寝かせる必要はありません。発疹が完全に消えてなくなるまでは登園・登校を控えて、自宅でゆっくり過ごすようにしましょう。
予防接種
風疹は、これといった特有の症状がないことから、「前に1度かかっているから、予防接種はしなくても大丈夫」と思い込んでいて、いざ血液検査をしてみると、実は風疹の抗体を持っていなかったというケースが多くあります。
以前に風疹にかかったかどうかがはっきりしないというお母さんは、妊娠した時に先天性風疹症候群のリスクを避けるためにも、予防接種を受けておくことを是非お勧めします。特に、女の子をお持ちのお母さんは、将来のことを考えて今のうちに予防接種を受けさせておくほうがよいでしょう。もちろん男の子であっても、風疹の流行を防ぎ、世の中のお母さんたちに元気な赤ちゃんを産んでもらうためにも、早めの接種をお願いします!
風疹ワクチンに関する重要なお知らせ
現在風しん感染者の94%が成人で、男性が女性の3.8倍多く、男性は30~40代、女性は20~30代が中心です。
予防接種歴なし、あるいは不明者が何と全体の92%を占めています。 特に30代から50代の男性(過去に風疹ワクチンを 接種する機会を逃している可能性がある世代)やこれから妊娠を希望される方々には ぜひお薦めしたいと思います。
全国規模での予防接種の対象者は1962年(昭和37年)4月2日から1979年(昭和54年)4月1日に生まれ(現在40歳から57歳)の男性になります。
【この記事を書いた人】医学博士 中野康伸
横浜市生まれ、自治医科大学卒
・日本小児科学会専門医
・日本アレルギー学会専門医
・日本東洋医学会専門医
横浜市港北区で小児科専門医として、地域に根差した診療を行っています。「病気・症状何でもQ&A」のコーナーでは、一般の方にも分かる最新の医学知識や予防接種の情報、育児・発育の心配な事、救急時の対応など、様々なトピックを掲載しています。