副鼻腔炎とは、鼻の周りにある4つの空洞(副鼻腔)の粘膜に炎症が起こり、鼻腔へ分泌物を排出できなくなるために、副鼻腔の中に膿がたまってしまう病気です。
副鼻腔は、人間の頭部に「脳」と「目」と「鼻腔」と「口腔」をバランス良く配置するために必要な空間であり、細かい毛が生えた粘膜でおおわれています。 正常な時は、この粘膜を通して、鼻腔に排泄物を送るのですが、風邪や感染症、アレルギー症状などによって粘膜に炎症が起こり、粘膜が腫れて分厚くなると、鼻腔への出口が詰まってしまい、副鼻腔の中に膿が溜まって出なくなります。
副鼻腔は、目や脳の非常に近くにあるため、まれに合併症として、炎症が目や脳に達して失明したり、髄膜炎をおこしたりすることがあります。
子どもの副鼻腔炎
副鼻腔炎は、幼児から学童期の子どもに多い病気です。子どもの副鼻腔は、鼻腔との境界がほとんど区別できない程密接につながっていて、鼻腔から簡単にウィルスや細菌が侵入することができるため、副鼻腔炎になりやすいのです。
また、副鼻腔の空洞自体も狭いので、膿がたまるとすぐに一杯になって、喉へ垂れてきます。繰り返しなることが多いのですが治るのも早く、成長とともに次第に良くなっていくことがほとんどです。
顔や頭の骨が成長すれば、空洞が広くなり、鼻腔との距離が細くなってきますので、ウィルスや細菌が侵入しにくくなります。
アレルギー体質で頻繁に炎症を起こしていると、慢性化して蓄膿症になるケースもありますが、早期発見、早期治療によって、防ぐことができますので、次のような症状が見られたら、早めにご相談ください。
- 青バナが垂れている
- 黄色い鼻水が出ている
- 鼻が詰まっていることが多い
- 口呼吸している
- 注意力が散漫で疲れやすい
治療方法
子どもの副鼻腔炎の場合は、抗生物質を中心に粘膜の炎症を和らげ、膿を出しやすくするお薬を処方します。粘膜の腫れがひどい場合は、点鼻薬やネブライザーを使って鼻の炎症を楽にすることもあります。
【この記事を書いた人】医学博士 中野康伸
横浜市生まれ、自治医科大学卒
・日本小児科学会専門医
・日本アレルギー学会専門医
・日本東洋医学会専門医
横浜市港北区で小児科専門医として、地域に根差した診療を行っています。「病気・症状何でもQ&A」のコーナーでは、一般の方にも分かる最新の医学知識や予防接種の情報、育児・発育の心配な事、救急時の対応など、様々なトピックを掲載しています。