日本の夏は、ジメジメとして蒸し暑く、たくさん汗をかくので皮膚トラブルが増えてきます。特に節電対策で、クーラーを控えめにしていらっしゃるご家庭が多いのではないでしょうか?こういう時は、あせもに要注意です。
赤ちゃんや子どもの体温は、大人より少し高めで、新陳代謝も活発なのでたくさん汗をかきます。よくお昼寝の後に頭の後ろにびっしょり汗をかいていたり、夜寝入った後に布団をめくってみると、布団の中にムワっとした熱気がこもっていて、玉のような汗をかいていたりしますよね。
汗をかいたままで、着替えずに放っておいたりすると、汗の出口である「汗管」という管がふさがれて詰まってしまい、皮膚が炎症を起こして、かゆくて赤いブツブツができます。また、急に日焼けしたり、高熱で大量に汗をかいた後にも、小さな水疱のようなブツブツが出ることがあります。
あせもは、放っておくと、汗の出口がふさがれるので、体に熱がこもりやすくなり、熱中症の原因にもなりますので、早めのケアが大切です。
あせもの予防と治療
あせもは、ほとんどの場合は、涼しくなる頃には自然に治るものですが、かゆみが強いのでかきむしったりして悪化すると、皮膚の表面が細菌感染を起こして「とびひ」になることがあります。そうなる前にしっかりとしたスキンケアをすることが大切です。
こまめな汗拭き、吸湿性の良い薄手の肌着の着用があせも予防の基本ですが、とにかくよく汗をかく赤ちゃんの場合は、いちいち着替えていたら何枚あっても着替えが足りませんよね。
そういう時は、よく汗をかく背中や首の後ろに、ガーゼのタオルを一枚入れて、その上から肌着を着せておけば、汗をかいたらタオルだけ取りかえればいいので便利です。
外遊びから帰ってきて、汗びっしょりになったら、軽くシャワーを浴びて汗を流したり、冷たい水で濡らしたタオルを軽く絞って、体を拭いてあげましょう。
クーラーを上手に使って、湿度と温度を調整し、発汗を抑えるのも効果的なのですが、クーラーが苦手な場合は、昔ながらの水枕が結構役立ちます。とても気持ちよくねむれます。アイスノンは冷たすぎるので、かえってこどもは嫌がるものです。
発汗を抑えるパウダー類は、皮膚を乾燥させた状態に保つ点では良いのですが、使用後にさらに汗をかいて放置してしまうと、汗の出口をふさいでしまうので、かえって症状を悪化させる場合があります。
かゆみが強い場合は、炎症を抑えるローションを処方しますので早めにご相談下さい。
【この記事を書いた人】医学博士 中野康伸
横浜市生まれ、自治医科大学卒
・日本小児科学会専門医
・日本アレルギー学会専門医
・日本東洋医学会専門医
横浜市港北区で小児科専門医として、地域に根差した診療を行っています。「病気・症状何でもQ&A」のコーナーでは、一般の方にも分かる最新の医学知識や予防接種の情報、育児・発育の心配な事、救急時の対応など、様々なトピックを掲載しています。