解熱剤の使い方

高熱を出した時に、解熱剤を処方することがあります。子どもの場合、多くは坐薬タイプのものを使います。(*お子さんが生後6ヶ月以下の場合、解熱剤でショックを受けたり危険なこともあるので原則 解熱剤は使用しません)

解熱剤を使うのは、「38度5分以上の熱が出た時だけ」と思いこんでいるお母さんも多いようですが、これはあくまでも目安として考えてください。

38度5分まで上がらなくても、38度前後の熱が続いていて機嫌が悪い、ぐったりしている、熱のせいで眠れない、水分が取れなくなってきた、など子どもの全身状態を見て使ってみてください。

原則使ってはダメという従来の考え方から、体が楽になるようなら使ってみたらという新しい考えがアメリカの小児科学会でも提唱され始め、日本でも少しづつ変わってきています。僕自身、風邪をひいた時解熱剤を飲んで汗をかくとすっきりしてしまいます。 ただし、1日に数回使用する場合は、かならず8時間以上間隔を空けて使うようにしましょう。

解熱剤の役目

カゼをひいたりして熱が出るのは、体の生体反応のひとつであり、ウィルスと戦って体を直そうとしている結果として起こります。このような人間の体の自然な働きに対して、「解熱剤を使って無理矢理 熱を下げるのはよくない」と考える人もいます。

しかし、例えば40度近く熱が出て、子どもがぐったりしているのに「我慢、我慢!」と解熱剤を使わないで、氷で一生懸命体を冷し続けるというのはどうでしょうか?これでは、熱のためにかえって体力を消耗してしまうこともありますので、解熱剤を使って一旦熱を下げて体を休めさせてあげたほうがよいでしょう。

しかし、解熱剤を使って一旦熱が下がれば、もう再び熱は上がらないということではありません。ウィルスとの戦いが続く限り、熱は上がったり下がったりします。

そんな中で、子どもの様子を見ながら上手に解熱剤を使って、熱を下げて体を休めてあげるというのがよいと思います。

坐薬の上手な入れ方

  • 坐薬は、先がとがった方からお尻に入れます。先を少し水で湿らせると、すべりがよくなってスルッと入ります。
  • 赤ちゃんの場合、1回の使用量が1/2や2/3個に指定されることがあります。その場合は、清潔なカッターやナイフで、包装フィルムの上から斜め切りでカットしましょう。(斜めに切ったほうが、お尻に差し込みやすくなります)
  • お尻に入れる時は、坐薬が奥までしっかり入るように、指でグーッと押し込んでください。入り口付近に浅く差し込むだけでは、お尻がムズムズしてしまうので、踏ん張るとポロッと出てきてしまうことがあります。 入れた後は、中で落ち着くまでしばらくの間、ティッシュを当てたりして肛門を押さえておきましょう。

やってはいけません!!

 一回の使用量が1/2や2/3個の場合、残った分を次回に使うのはダメ!

カットして使った分の残りはためらわず捨てましょう。包みなおして冷蔵庫に保管すれば大丈夫・・・というのもダメです。

● 暖かい場所に置きっぱなしにするのもダメ! 

坐薬は体温で溶けるように出来ているので、暖かい場所(日が当たる場所や夏場の室内など)に置いておくと、溶けてしまったり成分が変質することもあります。必ず冷蔵庫で保管してください。  

*本文は、「ひよこクラブ」2003年5月号に掲載された記事から一部抜粋しています。