ノロウィルスは、非常に小さなウィルス粒子で、人の細胞の中に入って増殖して感染性胃腸炎を引き起こします。以前は、SRSVという名前で呼ばれていたウィルスですが、平成15年にノロウィルスと改名されました。
非常に感染力が強く、ごく少量のウィルスでも感染しますので、家族への二次感染が起こりやすいので要注意です。厚生省の調べでは、ノロウィルスによる食中毒の患者数は年々増加傾向にあります。
ノロウィルスへの感染は1年を通して見られますが、主な感染源であるカキが旬の冬場に多く発生します。
どうやって感染するの?
主な感染経路としては、次の3つが挙げられます。
- ウィルスを持った貝類(カキ、大アサリ)、シジミ、ハマグリなど)を生で食べたり、十分に加熱しないで食べた場合
- ウィルスに感染した人が調理したものを食べた場合
- 感染した人の便や嘔吐物から排出されたウィルスが手や衣類に付着し、そこから二次感染した場合
ノロウィルスに感染したら?
ウィルスの潜伏期間は24~48時間で、発病すると嘔吐や下痢を繰り返し、激しい腹痛が1~2日ほど続きます。ノロウィルスが直接的な原因で死に至るようなことはありませんが、体力が極端に低下していたり脱水症状が悪化したりすると危険な状態に陥る可能性がありますので、水分補給には十分気をつけてクリニックへは早めに受診するようにしましょう。
むやみに市販の下痢止めなどを使用すると、かえって症状が悪化することがありますので必ず医師の指示を守りながら処方された薬を服用するようにして下さい。
感染を予防するためには?
- 調理器具の消毒
まな板や包丁、ふきんなどの調理器具は熱湯(85℃以上)で1分以上加熱消毒するか、次亜塩素酸ナトリウムで消毒することでウィルスを不活化できます。キッチンハイター®等はお勧めです。 - 衣類は別にする
家族が感染している時は、2次感染を防ぐためにタオルの共有は避け、洗濯物も別に洗うようにしましょう。 - 感染者の嘔吐物や便の処理
感染者が吐いたモノや糞便からは大量のウィルスが排出されますので注意が必要です。床や布団、衣服、洗面器などに嘔吐した場合、ゴム手袋をはめて嘔吐物をふき取った後、次亜塩素酸ナトリウムを汚れた部分に浸して消毒します。おむつを替える時は、ゴム手袋をはめて行い、終わったら手をしっかり洗って消毒しましょう。(よく家庭にあるものとして、キッチンハイターが有効です。吐いたらキッチン吐いたー(吐いたー)と覚えましょう。)
嘔吐物やふき取るのに使用したティッシュやタオル、手袋、オムツなどはビニール袋に密閉して捨てます。ノロウィルスは、乾燥しても死滅することはなく、空気中に飛散して感染することがありますので、汚した床や布団などはしっかりと消毒して、日干ししましょう。
このページは、厚生労働省作成の「ノロウイルスに関するQ&A」および「生島ヒロシのおはよう一直線」で院長がトークした内容を参考に作成しています。
(http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/kanren/yobou/040204-1.html)
【この記事を書いた人】医学博士 中野康伸
横浜市生まれ、自治医科大学卒
・日本小児科学会専門医
・日本アレルギー学会専門医
・日本東洋医学会専門医
横浜市港北区で小児科専門医として、地域に根差した診療を行っています。「病気・症状何でもQ&A」のコーナーでは、一般の方にも分かる最新の医学知識や予防接種の情報、育児・発育の心配な事、救急時の対応など、様々なトピックを掲載しています。