おしゃぶりは止めさせるべき?

おしゃぶりは止めさせたほうがいいの?

厚生労働省が、おしゃぶりの長時間の使用による咬み合わせへの影響について、母子手帳の記載を改訂しました。次はその引用です。

「長時間にわたり、長い期間おしゃぶりを使用すると、歯ならびや噛みあわせが悪くなる場合があります。また、おしゃぶりをくわえていると、お母さん・お父さんが声をかけたり、赤ちゃんが声を出す機会が減り、赤ちゃんとのコミュニケーションも少なくなります。 おしゃぶりは早めに卒業しましょう。また、歯ならびや、口や唇の形が心配な場合には、早めに歯科医師等の専門家に相談するようにしましょう。」母子健康手帳「育児のしおり 幼児期 1歳頃」  

おしゃぶりを使っているお母さんからは、「おしゃぶりはやっぱり良くないんでしょうか?」という質問をよく聞きます。欧米では、おしゃぶりをしている赤ちゃんをたくさん見かけます。おしゃぶりをしていれば、自然と鼻呼吸する癖がつくとか、おっぱいを吸う力がつくから良い効果があるという意見もありますが、医学的な根拠はありません。しかし、はっきりしていることは、長時間おしゃぶりを使用していると、歯並びやあごの発達に影響が出るということです。

おしゃぶりの良い点、悪い点

赤ちゃんは、おしゃぶりをすることで、お母さんのおっぱいを吸っていると同じような心地よい安心感を得ています。一方、お母さんにとっても、おしゃぶりさえ与えていればおとなしくしていてくれる・・・という「ぐずった時の頼みの綱」のような頼もしい存在になっているでしょう。特に、まだ言葉を理解できない赤ちゃんの時期は、何をやっても泣き止まなかったり、夜泣きがひどかったりすると、赤ちゃんもママも疲れ果ててしまいます。そうなる前に、おしゃぶりで効果があるなら、我慢しないで短時間使っても問題ないと思います。特に乳歯が生え揃う前(2歳半~3歳くらい)までのおしゃぶりは、その後の歯並びやあごの形への影響もほとんどないと言われています。

おしゃぶりすることで悪い影響があるとすれば、乳歯が生え揃う2歳半以降です。おしゃぶりを噛むようになると、歯に圧力がかかって、前歯が徐々に出てきたり、前歯の上と下が噛み合わなくて隙間ができてしまったり(開咬:かいこう)、受け口になったり、永久歯の歯並びにも影響が出ることがあります。しかし、全ての子に当てはまるわけではなく、噛む力やおしゃぶりする時の吸い方、吸っている時間などの違いによって、影響の度合いはまちまちです。

2006年、横浜市の親子がおしゃぶりであごが変形したとして、ベビー用品メーカーのコンビに損害賠償を求める訴訟を起こしました。しかし、この例では、その子は毎日約15時間もおしゃぶりをくわえていたそうです。こうした例は、非常に極端な使用方法の結果です。

ママの育児ストレスとおしゃぶりの使用を天秤にかけて、本当に困った時だけ短時間使うのであれば良いと思います。

おしゃぶりの卒業

おしゃぶりをさせる一番の理由は、やはり「寝つきがよくなるから」「泣き止んでくれるから」「外出時に静かにしていてくれるから」という大人の都合でしょう。まだ言葉もわからない赤ちゃんの時なら「仕方ない」と許されても、子どもが成長してしっかりと意思を持ち、言葉を使ってコミュニケーションできる年(2歳~3歳)になっても、まだおしゃぶりに頼っているのはどうでしょうか?

子どもと言葉でコミュニケーションが取れるようになったら、「いつになったらおしゃぶり止めようか?」と問いかけ、子どもが自主的におしゃぶりを卒業するように仕向けてみてはいかがでしょうか?特に3歳頃になると、お兄ちゃん、お姉ちゃんになることに憧れる時期ですから、「おしゃぶりするのは赤ちゃんだけだよ」と意識させるのも効果があります。また、ある日を境に全く使わなくするという強行な手段に出なくても、どうしても駄目な時だけに限定して使う、という風に徐々に回数を減らして慣らしていくのも良いでしょう。

知り合いのお子さんで、どこに行くにもおしゃぶりは必須アイテムという程におしゃぶりを愛用していた子がいましたが、3歳になった頃、自らおしゃぶりを止めると言って、愛用のおしゃぶり全てをごみ箱に投げ捨てたそうです。その日以来、時々思い出したように「チュッチュ捨てちゃったね?」と言うことあっても、実際に吸うことはなかったそうです。

ですから、今はおしゃぶりを止めさせるなんて絶対に無理!考えられない!と思ってらっしゃるお母さんも、いつかは止められる時が来ますので大丈夫ですよ。