今流行中のH3N2,香港型のウイルスの変異株
インフルエンザは、A型2種類、B型2種類の合計4種類の型があります。現行のインフルエンザワクチインは、ほぼ全ての型に対する抗体が獲得出来るように作られています。
2025〜26年シーズンに入ってから、インフルエンザA(H3N2)の新たな変異株 「サブクレードK(sub-clade K)」 が急速に広まり、現在の流行の中心になりつつあります。これは、既存の香港型インフルエンザから派生した新しい系統で、ウイルス表面の構造(抗原)がこれまでと微妙に変わったことが最大の特徴です。
この抗原の変化により、私たちの体が以前の型のH3N2に対してもっていた免疫が効きにくい状況が生じていると考えられています。過去にH3N2に感染したことがある人や、ワクチンを受けた人でも「初めて出会うウイルス」として反応してしまうため、感染が広がりやすい状況になっています。
すでに検出されているH3N2のウイルスの大部分がサブクレードKに置き換わりつつあり、特に若い世代での感染増加が目立っています。流行のスピードが早く、地域によっては例年より1か月以上前倒しで患者数が急上昇しているとの報告もあります。
一方で、サブクレードKそのものが特別に重症化しやすいという確かな証拠は現時点ではありません。ただし、H3N2系統はもともと高齢者や幼児が重症化しやすい特徴を持っているため、注意は必要です。
今シーズンのインフルエンザワクチンは、この新しい系統とは一部で「抗原性のずれ」がある可能性が指摘されています。そのため 発症を完全に防ぐ効果は弱まる可能性がありますが、重症化を防ぐ効果は期待できるとされています。特に子ども、高齢者、基礎疾患のある場合には接種のメリットは大きいと考えられます。
治療薬(タミフル・ゾフルーザなど)は従来株と同様に効果があるとされており、症状が出た場合は早めの受診が推奨されます。
子どもで特に注意したいポイント(サブクレードK)
① 免疫を持っていない子が多く、感染しやすい
- サブクレードKは「新しい系統」のため、
子ども世代はほぼ免疫を持っていません。 - 幼稚園・小学校で一気に広がりやすい環境が揃っており、集団感染の報告も増えやすい特徴があります。
② 高熱・喉の痛み・強い倦怠感が出やすい
H3N2自体が「症状が重めに出やすい」タイプであり、特に
- 38〜40℃の高熱
- 頭痛
- 全身のだるさ
- 咳・のどの痛み
が強く出る傾向があります。
サブクレードKだから特別に重くなるわけではありませんが、子どもは脱水や呼吸症状に注意が必要です。
③ 中耳炎・熱性けいれんなどの合併症に注意
H3N2(香港型)は、従来から 小児の合併症が起きやすい型 と言われています。
特に警戒すべきは:
● 熱性けいれん
- 高熱が急に上がると起きやすい
- 生後6か月〜5歳で特にリスクが高い
● 急性中耳炎
- 鼻水・咳が多いと中耳炎に進みやすい
● 肺炎
- せきが長引く
- 呼吸が早い
- 息苦しさの訴え
などがある場合は早期受診が必要。
● 脱水
- ぐったりして水分が取れない
- おしっこが極端に少ない
これも受診の目安になります。
④ ワクチンの効果は「発症予防より重症化予防」に期待
- 今シーズンのワクチンはサブクレードKと完全一致していない可能性があるため、
発症予防効果は低め の可能性。 - しかし、
中耳炎や肺炎、脳症などの重症化を防ぐ効果は依然期待できる特に
- 乳幼児
- 基礎疾患のある子
- ぜんそく傾向のある子
⑤ 早期受診がとても重要(48時間以内が目安)
インフルエンザ薬(タミフルなど)が効きやすいのは、発熱から48時間以内。
以下の症状がある場合は、早めの受診を推奨:
- 高熱が持続
- 呼吸が苦しそう
- ぐったりしている
- 水分が取れない
- 青白い顔
- けいれんした
症状が軽く見えても、乳幼児は急に悪化することがあるため注意が必要です。
⑥ 家庭でできる予防策(子ども向け)
- 手洗いを特に丁寧に(親が仕上げ洗い)
- 家族の誰かが感染したら「家庭内感染対策」を徹底
- タオルを分ける
- 食事は別の席にする
- マスク着用(可能な年齢のみ)
- 十分な睡眠
- 加湿(湿度40〜60%)で喉の防御機能を保つ
まとめ:子どもは“流行の中心になりやすい+合併症リスクがある”ため特別な注意が必要
サブクレードKは特別に危険なウイルスではありませんが、免疫が少ない子どもにとっては、感染しやすく、合併症のリスクも従来のH3N2通り注意が必要な株です。重症化予防にワクチン接種を強くお勧めします。(特に乳幼児、学童)早期の対応と家庭でのケアがとても重要になります。
