春の花粉症対策とは?

春は入園や入学、進級といった生活環境の変化が重なる時期であり、子どもたちの心身にさまざまな影響が及びます。そのなかでも近年とくに増加しているのが花粉症です。くしゃみや鼻水、目のかゆみといった症状はよく知られていますが、小児では集中力の低下や睡眠の質の悪化、機嫌の不安定さとして現れることもあります。保護者が単なる風邪と捉えて見過ごしてしまうケースも少なくありません。

小児の花粉症は、アレルギー体質の増加や生活環境の変化と密接に関係しています。都市化に伴う大気汚染や住環境の気密化は、アレルゲンへの曝露様式を変化させました。また、乳幼児期からのアレルギー疾患の増加により、学童期に花粉症を発症する子どもが目立つようになっています。早期に正確な理解を持つことが、適切な対策の第一歩となります。

花粉症の仕組み

花粉症は、鼻や目から侵入した花粉に対して、体内の免疫が「異物」と認識し、過剰に排除しようとするアレルギー反応です。花粉が鼻や目の粘膜に付着すると、IgE抗体という免疫グロブリンが反応し、ヒスタミンなどの化学伝達物質が活性化します。このヒスタミンが神経や血管に作用することで、くしゃみや鼻水、鼻づまり、目のかゆみといった症状が現れます。

とくにスギ花粉による花粉症は日本特有の社会問題ともいえます。戦後に植林されたスギが成熟期を迎えたことにより、大量の花粉が飛散するようになりました。また、ヒノキ花粉はスギの後を追うように飛散します。原因となる花粉の種類は地域差があり、北海道ではシラカンバ、本州の一部ではブタクサなども花粉症の原因として知られています。

花粉症の主な原因と小児に多い症状

春の花粉症の代表的な原因はスギやヒノキの花粉です。これらの花粉が鼻や目の粘膜に付着すると、免疫系が過剰に反応し、炎症を引き起こします。小児では鼻水や鼻づまりが持続しやすく、口呼吸が習慣化することがあります。その結果、咽頭の乾燥やいびき、睡眠の浅さにつながることもあります。

さらに、目のかゆみや充血を強く訴える子どもも多く、無意識にこすってしまうことで結膜炎を悪化させる場合があります。幼児では症状を言語化できず、目を頻繁に触る、鼻をすすり続けるといった行動として表れることがあります。こうした変化に早期に気づくことが重要です。

風邪との違いと受診の目安

春先は気温の変動が大きく、感冒も流行するため、花粉症との見分けが難しい場面があります。発熱や強い倦怠感を伴う場合は感染症の可能性が高くなりますが、透明でさらさらした鼻水が長期間続き、目のかゆみを伴う場合は花粉症を疑います。症状が毎年同じ時期に繰り返される点も重要な手がかりです。

鼻づまりが強く日常生活に支障をきたしている場合や、睡眠障害がみられる場合には小児科や耳鼻咽喉科での評価が必要です。自己判断で市販薬を長期使用すると、症状が十分に改善しないまま経過することがあります。医療機関で適切な診断を受け、治療方針を定めることが望まれます。

花粉症の症状

花粉症の代表的な症状として、くしゃみ、鼻水、鼻づまりが挙げられます。くしゃみは連続して出続けることが多く、鼻水は透明で水っぽいものが特徴です。鼻づまりが強くなると口呼吸が増え、睡眠の質が低下します。これにより日中の集中力が落ち、仕事や学業に影響が出ることがあります。さらに、目のかゆみや充血、涙目などの目に関する症状も併発し、コンタクトレンズをつけることが難しくなるケースもあります。

症状が長引くと副鼻腔炎や中耳炎を合併することも可能性があるだけでなく、喉のかゆみや咳、皮膚のかゆみなど全身の症状を伴うこともあります。重症化すると日常生活の質が著しく低下し、外出を控えるようになる方もいます。花粉症は命に関わる疾患ではありませんが、生活の質に大きく影響を与えます。

日常生活でできる花粉対策

薬物療法と並行して、日常生活での対策も重要です。まず外出時は花粉の付着を防ぐためにマスクや眼鏡を着用します。帰宅時には衣類や髪についた花粉を玄関先で払い落とし、室内に持ち込まない工夫が必要です。洗濯物や布団の外干しは花粉飛散量の多い日は避け、室内干しや乾燥機の利用すると良いです。室内では空気清浄機を活用し、こまめに掃除を行い床やカーテンに付着した花粉を除去します。

また、鼻うがいも効果的です。生理食塩水で鼻腔内を洗うことで、付着した花粉や分泌物を物理的に除去できます。ただし、不適切な方法で行うと耳に水が入るなどのトラブルが生じることがあるため、正しいやり方を理解することが必要です。

医療機関で行う治療方法

耳鼻咽喉科では、症状の程度に応じて複数の治療法を組み合わせます。内服薬としては第2世代抗ヒスタミン薬が中心となり、副作用で眠気が出にくい薬も多くあります。鼻づまりを解消したい場合は抗ロイコトリエン薬や点鼻ステロイド薬を併用します。目の症状が強い場合は抗アレルギー点眼薬を追加で使用します。

根本的な体質改善を目指す治療として、「舌下免疫療法」があります。舌下免疫療法は、スギ花粉のアレルゲンを少しずつ毎日服用し、身体をアレルゲンに慣らすことで根本的な体質改善を目指す治療法です。治療期間は数年に及びますが、長期的な効果が期待できます。すべての患者に適応できるわけではないため、条件や副作用について十分な説明を受けたうえで開始します。

子どもや高齢者の花粉症対策について

子どもの花粉症は集中力の低下や睡眠障害を通じて学習面に影響することがあります。薬を服用する場合には、成長期であることを踏まえて慎重に選ぶ必要があります。眠気の副作用が少ない薬を選び、体重や年齢に応じた適切な用量で使用します。また、鼻づまりが強い場合は口呼吸が習慣化し、歯列や顔面の発育に影響することがあるため、早目に対策をすることが大切です。

高齢者では、複数の基礎疾患を抱えていることが多く、服薬中の薬との相互作用にも気を付ける必要があります。抗ヒスタミン薬の中には前立腺肥大症や緑内障に影響を与えるものもあるため、既往歴の確認が欠かせません。

花粉症対策で春を快適に過ごす

花粉症対策は正確な診断に基づく薬物療法、日常生活での工夫、必要に応じた免疫療法などを組み合わせることで、症状を緩和していきます。毎年同じ時期に症状が出る方は、記録をつけることで自身のパターンを把握しやすくなり、翌年以降の花粉症対策を始めやすくなります。

春は気候が穏やかで活動的になれる季節です。花粉症によって外出や運動を控えることは、心身の健康にとって好ましくありません。症状を我慢するのではなく、専門医と連携しながら計画的に対策を講じることが大切です。

アレルギーの種類とは?

くしゃみや鼻水、皮膚のかゆみ、食後の体調不良など、身近な症状にはアレルギーが関係しているケースは珍しくありません。特に成長過程にある子どもは免疫機能がまだ成熟しておらず、体にとって本来は無害なものに対しても過剰に反応しやすい傾向があります。そのため、日常の小さな変化を見逃さず、アレルギーについて正しく理解することは、早期対応や日常生活に直結します。

アレルギーとは?

アレルギーとは、原因となる物質(アレルゲン)が体に侵入することで生じる免疫反応です。本来無害な花粉や食物などに対して、体が「免疫」の仕組みで過剰に反応してしまい、くしゃみ、鼻水、かゆみ、発疹などの症状を引き起こします。アレルギーは一つの病気ではなく、原因となる物質や反応する部位によって性質が異なります。

食物アレルギー

食物アレルギーは、特定の食品を摂取した際に免疫が過剰に反応し、体に症状が現れるアレルギーです。皮膚の発疹やかゆみ、口の中の違和感、腹痛や嘔吐など、症状は比較的短時間で現れることが多く見られます。乳幼児期に発症しやすく、原因となる食品は成長とともに変化します。

自己判断で食事制限を続けると、成長期に必要な栄養が不足する恐れがあります。医療機関で正確な評価を受けた上で、必要な範囲に絞った管理を行うことが、子どもの健やかな発育につながります。

接触性アレルギー

接触性アレルギーは、皮膚に触れた物質が原因で炎症が起こるアレルギーです。金属や衣類の素材、洗剤、化粧品などが原因となり、接触した部位に赤みやかゆみが現れます。原因物質との接触を避けることで、症状が改善しやすい点が特徴です。

薬物アレルギー

薬物アレルギーは、薬を使用したことをきっかけに免疫が過剰反応を起こし、体に症状が現れるアレルギーです。解熱鎮痛薬や抗菌薬など、子どもが使用する機会の多い薬でも起こる可能性があります。服用後に発疹やかゆみ、発熱が見られる場合は注意が必要です。初回の使用では問題がなく、再度同じ薬を使用した際に症状が出ることもあります。

ラテックスアレルギー

ラテックスアレルギーは、天然ゴムに含まれる成分に反応して起こるアレルギーです。ゴム手袋や風船、医療用器具などが接触のきっかけになることがあります。皮膚のかゆみや赤みとして現れることが多く、状況によっては全身症状につながる場合もあります。代替素材を使用することで、症状の予防につながります。

刺激によるアレルギー

急に気温が変化した際や、暖かい場所から寒い場所へ移動した後に、じんましんや皮膚のかゆみが現れることがあります。また、冷たい空気や冷水に触れた後に症状が出る場合もあり、体が刺激に反応して皮膚や全身に変化が生じます。さらに、運動をきっかけに発疹やかゆみ、体調不良が現れるケースも見られます。

アレルギー疾患

アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎は、花粉やカビ、ほこりなどを吸い込むことで鼻の粘膜に炎症が起こるアレルギーです。透明な鼻水やくしゃみ、鼻づまりが長く続くことが多く、発熱を伴わない点が風邪との大きな違いです。特定の季節だけ症状が強くなる場合もあれば、一年を通して続く場合もあります。原因を把握し、生活環境の調整や適切な治療を行うことで、症状の悪化を防ぎやすくなります。

気管支ぜんそく

気管支ぜんそくは、気道に慢性的な炎症が起こり、咳や息苦しさを繰り返す呼吸器のアレルギーです。夜間や運動後に咳が出やすく、風邪をきっかけに症状が長引くこともあります。ダニやハウスダストなどが発作の引き金になる場合があります。

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能が弱い状態にアレルギー体質が関与し、湿疹やかゆみを繰り返す慢性的な皮膚のトラブルです。乳児期から発症することが多く、頬や首、肘や膝の内側などに症状が出やすい特徴があります。

かゆみによる掻き壊しは炎症を悪化させ、症状が長引く原因になります。日常的な保湿を基本としたスキンケアと、炎症を抑える治療を継続することで、皮膚の状態を安定させやすくなります。

アレルギーは年齢とともに変化する

子どものアレルギーは年齢によって現れやすい種類が変化します。乳児期には皮膚や食物に関わる症状が目立ち、成長とともに鼻や気道のアレルギーが増えていく傾向があります。免疫機能の発達や生活環境の変化が影響しています。

成長とともに症状が落ち着く場合もありますが、適切な管理を行わないと慢性化することもあります。

アレルギーのリスク

アレルギーを放置することは極めて危険です。症状が軽い段階では日常生活に支障が出にくいため見過ごされがちですが、繰り返し同じ刺激にさらされることで、症状が慢性化したり重症化したりすることがあります。

また、原因が分からないまま対処を続けると、不必要な食事制限や生活制限につながる恐れがあります。これは身体的な負担だけでなく、精神的なストレスにもなりやすい点が注意点です。アレルギーは早い段階で正しく理解し、適切に向き合うことでリスクを抑えやすくなります。

アレルギー検査の重要性

アレルギー検査を受けることで、症状の原因となるアレルゲン(花粉、ダニ、食物など)を特定し、それに応じた的確な回避策や治療方針を立てることで、症状の悪化を防ぐことができます。症状だけから原因を推測することは難しく、見た目が似ている症状でも背景にある要因が異なることがあります。