新型ノロウィルス

新規ノロウィルスGⅡ.17変異株という名前を聞いたことがありますか? 2014年から2015年の冬に、 中国、香港、台湾や日本でノロウィルスによる集団食中毒が発生して問題となりました。

これは、従来のノロウイルス(GII.4という遺伝子型)が、「人に感染しやすい」という特徴を持って変異し、生まれ変わったもので、新しいノロウイルス(GII.17という遺伝子型)として報告されています。

これまでのノロウィルスは、毎年流行していくうちに、これに対する抗体を持つ人が増えるので、大流行するような事態はありませんでした。しかし、GII.17型は、これまでにノロウィルスに感染したことがある人でも抗体を持っていないので、大規模な感染拡大が懸念されます。また、新しい遺伝子ウィルスであるがゆえに、従来使っていた検査用キットでノロウィルスを検出することは出来ません。従って、診断には苦慮します。

感染予防

ノロウィルスの主な感染経路は経口感染(口から入るケース)です。潜伏期間は10日間程で、ノロウィルスに感染した人の体内からは、汚物や吐物などによって1週間以上ウィルスが排出され続けます。このウィルスが数個でも体内に入ると、24~48時間以内に体内で増殖して発症します。特に、家族でノロウィルスにかかった人がいる場合、感染者の汚物や吐物の処理をする際には、ビニール手袋、マスクをして行うようにし、吐物のついたタオルや洗面器などは、可能であればビニール袋に密閉して廃棄したほうがよいでしょう。ノロウィルスは、乾いた後でも空気中に飛んで飛沫感染するので、とにかく汚物の処理には注意が必要です。

またノロウィルスが流行している時期は、貝類を生で食べないことです。カキで感染する話はよく聞きますが、アサリやハマグリ、ホタテ、赤貝の内蔵にも潜んでいます。調理する場合は、沸騰した状態で1分以上ゆでるか、焼くかしたほうがよいでしょう。

ある研究によると、ラクトフェリン入りのヨーグルトを毎日食べていると、ノロウィルスやロタウィルスなどの消化器官に感染するウィルスを抑制する効果があるそうです。

治療と対処法

これに対するワクチンは残念ながらありません。手洗いの徹底など自己管理がとても大事です。特にノロウィルスは、次亜塩素酸ナトリウムという物質に対して弱いので、手洗いの後に、次亜塩素酸ナトリウムの入った除菌スプレーを使うのが効果的です。
激しい嘔吐や下痢で、脱水症状にならないように水分補給し、無理をしないで早目に来院して適切な治療を受けましょう。