カンジタ

口腔内カンジタ病(鵞口瘡)、カンジタおむつかぶれ

大人から赤ちゃんに移る皮膚病の一つに「鵞口瘡(がこうそう)」という病気があります。聞きなれない人がほとんどだと思いますが、カンジダアルビカンスという真菌が原因で、口の中に白い斑点のようなカビが付着する皮膚病です。

カンジタ病にかかった母親の産道をとおった時や、口腔内カンジタに感染した人からの口移し、そして真菌が付着した哺乳瓶やスプーンなどを通じて赤ちゃんに感染します。

妊娠中は、ホルモンバランスが崩れやすく、疲れやすいので、カンジタ菌が増殖しやすくなります。また、出産後も体力が落ちている時や、抵抗力が弱っている時にも起こりやすいようです。

それ以外にも、ステロイド薬や抗生物質を服用している免疫不全の人(普通の人はあまり心配ありません)、高齢者などが発症しやすいので、おじいちゃん、おばあちゃんや友人などが遊びに来た時には、ちょっと言いずらいかもしれませんが、赤ちゃんを抱っこしたりする前に手をしっかり洗ってもらいましょう。

カンジタ菌に感染すると、舌や頬の内側、口蓋などの粘膜に、白いミルクのカスのようなものが付着します。こすってもなかなかとれないのが特徴です。痛みはないのですが、ミルクの飲みが悪くなったり、無理やり取ろうとすると出血して炎症を起こしたりします。

また、口から飲み込んだ真菌が、便と一緒に排出され、そこからカンジタおむつかぶれを併発してしまうことがあります。 カンジタおむつかぶれは、普通のおむつかぶれとは違って、真菌による皮膚炎なので、誤っておむつかぶれ用のステロイド薬を塗ってしまうと、さらに症状が悪化します。おむつかぶれと同じように皮膚全体が赤くただれるのですが、よく見ると小さいブツブツが出来ていて、ひどくなると皮がめくれてきます。

赤ちゃんは、皮膚が弱い上に、おむつの中は蒸していて温かく、カンジタ菌が増殖するにはもってこいの環境です。カンジタが原因の場合は、抗真菌剤の軟膏を処方しますので、自己判断で市販のおむつかぶれの薬を使わずに早めにクリニックにご相談下さい。

予防と治療とケア

赤ちゃんが直接口にするようなモノ、特に哺乳瓶やおしゃぶりはしっかり消毒するようにしましょう。また、指に菌が付着して、それで触った乳首や他のモノからも感染しますので、とにかく赤ちゃんの口に入るものはまず消毒したほうがよいでしょう。

鵞口瘡はほとんどの場合が、口の中をきれいに洗って、清潔にすることで様子を見ていれば自然治癒しますが、ミルクの飲みが悪くなったり、機嫌が悪くなったりするようなら、抗真菌剤を患部に塗ります。

カンジタおむつかぶれの場合は、おむつをこまめに取り換えて、なるべく皮膚が乾燥している状態を保つようにします。特にウンチの後は、おしりをぬるま湯で洗って、しっかりと乾かしてから、処方された軟膏を塗るようにしましょう。

市販のおしり拭きは、かえって刺激になる場合があるので、かぶれている間は避けましょう。とは言っても、わざわざシャワーをしたり、沐浴させるのは大変でしょうから、霧吹きや空きボトルにぬるま湯を入れて、古いオムツをおしりの下に敷いた状態で、おしりにシュシュっとお湯をかけて洗うと簡単です。適当な容器がない場合は、小さめの布をお湯にひたして濡らし、絞って洗い流すのでもOKです。これなら、ママの負担も少ないはずです。

おしりを乾かすために、しばらくおむつをつけないでおいたり、あるいは柔らかい布でポンポンと叩くように(擦らないように)乾かしてあげましょう。乾燥させるのに良いからといって、ベビーパウダーをつける方もいますが、かえって刺激になることがありますので、控えたほうがいいでしょう。