ハンタウイルス感染症は、ネズミなどのげっ歯類が持っているウイルスによって起こる病気です。ネズミの尿やフンが乾燥して空気中に広がり、それを吸い込むことで感染すると言われています。
最近、この病気がニュースで大きく取り上げられているのは、南米方面を航行していたクルーズ船で感染者が確認され、死亡した人も出たためです。今回問題になっている「アンデスウイルス」という種類は、ハンタウイルスの中では珍しく、人から人へ感染する可能性があるとされています。そのため、各国で接触者の確認や健康観察が続けられています。
症状は最初、風邪やインフルエンザのように、発熱や頭痛、筋肉痛、だるさなどから始まります。しかし、重症化すると肺に水がたまり、呼吸が苦しくなることがあり、命に関わる場合もあります。
ただ、専門家は「新型コロナのように急速に広がるタイプではない」と説明しています。人から人への感染は非常に限定的で、長時間の濃厚接触が必要と考えられているためです。
日本では今のところ感染例はほとんどなく、普通に生活している中で過度に心配する必要はないとされています。ただし、山小屋や物置、倉庫など、ネズミの排泄物がある可能性のある場所を掃除する際には注意が必要です。
予防のためには、掃除の前に換気をすること、マスクや手袋を使うこと、乾いたフンをそのまま掃除機で吸わないことなどが大切だと言われています。フンの中に潜むウイルスが、空中に飛び散り、気道から人間の体内に入り込んで増殖し、重大な病気を引き起こすからです。
現在は特効薬や一般的なワクチンはなく、感染した場合は呼吸管理など症状を和らげる治療が中心になります。
