こどもの肥満

近年、子供の肥満が増えています。肉中心で脂っこい食事を好み、喉が乾いたらジュース、おやつにはスナック菓子やチョコレートを食べ、放課後は塾で勉強か部屋でゲーム、週末も出かけずに家でゴロゴロ・・・ 
こんな生活をしていたら、もちろん太るに決まっています。

子供でも、肥満になると大人と同じように生活習慣病になり、またはその予備軍になります。子供時代に肥満だと、大人になっても太りやすく、成人病や生活習慣病にかかりやすいこともわかっています。

うちの子は肥満?

どの程度だと肥満になるのか、いまひとつ分からない方も多いと思います。見た目の問題ではなく、内臓脂肪が多ければ肥満と診断されます。しかし、脂肪の量を正確に測定するのは難しいので、まずは目安として身長と体重で肥満度を計算してみましょう。子供の場合は、成長段階によって、次のように判定します。

乳児期…カウプ指数(生後3ヶ月以降)

10×体重(g)÷身長(cm)÷身長(cm)

正常な範囲

3ヵ月~16~18
満1歳15.5~17.5
満1.5~2歳15~17
満3~5歳14.5~16.5

*上記正常値を2ポイント超えると「やや肥満」、それ以上は肥満です。 
*母子手帳にも成長発育曲線があるので参考にして下さい。

学童期…肥満度

肥満度(%)=100×(体重-標準体重)÷標準体重

*標準体重は、下記表の平均体重を参照して下さい。 
最新の全国平均体重は、文部科学省が公開している男女別の「学校保健統計調査」をご覧下さい。

年齢
5歳19.118.7
6歳21.621.1
7歳24.223.6
8歳27.426.6
9歳30.930.1
10歳34.534.2
11歳38.839.5
12歳44.944.4
13歳49.947.9
14歳55.150.6
15歳60.152.3
16歳62.053.4
17歳63.953.7

基準範囲

標準体重±20%以内
軽度肥満+20~30%まで
中等度肥満+30~50%まで
50%以上高度肥満

思春期以降~成人…BMI

BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)

基準範囲

低体重18.5未満
普通体重 (22が理想)18.5~25
肥満25以上

肥満が引き起こす恐ろしい病気

糖尿病

糖尿病は、体を動かすのに必要なエネルギー源(糖分)が、細胞にうまく吸収されなくなり、血中に糖分が溢れ出す病気です(尿にブドウ糖が出ることから、糖尿病と呼ばれます。)これは、不規則な生活や、高カロリー食、自動化、運動不足といった現代の生活習慣から、体を動かすことが少なくなり、内臓に脂肪がたまることが原因となっています。内臓脂肪がたまると、血中の糖分をコントロールするインスリンというホルモンの働きが妨げられ、血糖値が上がり、腎機能の悪化、網膜障害による失明し、体のしびれや痛みといった神経障害、動脈硬化など、様々な合併症を引き起こし、最悪の場合は、昏睡状態から死に至ることもあります。

肥満が原因による糖尿病の場合は、まずは食生活を改善してカロリーをコントロールしつつ、運動療法によって体重を減らしていくことが基本になります。生活改善をしばらく続けても、思うような効果がない場合は、薬を併用して血糖値を下げます。

高脂血症

高カロリー・高脂肪の食生活、運動不足になると、血中のコレステロールと中性脂肪がどんどん増加し、血中の悪玉コレステロール(LDL)が動脈の壁にくっついて固まり、血液の流れを妨げて血栓が詰まりやすくなり、動脈硬化や狭心症、心筋梗塞を引き起こします。 
食事療法、運動療法、生活習慣を見直すことで肥満が解消されれば、高脂血症も改善されます。

高血圧

肥満は、心臓に負担をかけます。体の隅々にまで血液を行き渡らせるためには、過剰な力で血液を送り出さなければならず、それが高血圧につながり、心不全を引き起こす原因にもなります。肥満が原因なら、肥満を解消すれば血圧も正常に戻ります。

その他の障害

極度の肥満になると、呼吸機能にも影響が出てきます。喉や首まわりについた脂肪で、気道が圧迫されて呼吸がしづらくなり、また大きないびきをかくこともあります。また、重くなり過ぎた体を支える骨や関節、筋肉に負担がかかり、腰、股関節、膝を痛めることにもなります。

子供の肥満と解消法

子供の肥満の一番の原因は、食生活、運動不足、生活習慣です。子ども肥満には、少なからずとも、ご家庭の生活習慣が関与しています。肥満は、親の責任でもあるのです。 
現在の生活を振り返ってみて、子供と一緒に改善していきましょう。

肥満の原因となる食生活とその改善策

  1. 大食い 早食い、夜食、朝食抜き
    1日3食、規則正しく、よく噛んでゆっくり食べましょう
  2. 脂っこい食事
    揚げるより焼く、炒めるより煮る
    ドレッシングやマーガリンは控えましょう
  3. ジュース、清涼飲料水、牛乳の飲みすぎ
    のどが渇いたらお茶、水を飲みましょう
  4. おやつの食べすぎ
    おやつは量を決めて、お皿などに取り分けましょう
  5. ごはんやパンなどの炭水化物が大好き
    炭水化物は食事全体の60%くらいに抑え、食物繊維を多く摂るように心がけて、バランス良く食べましょう

運動不足になりやすい生活とその解消方法

  1. 放課後は、塾や習い事が中心
    塾や習い事と遊びの時間のメリハリをつけ、遊ぶときはできるだけ外で元気に遊びましょう
  2. 遊びはテレビゲームが中心
    テレビはつけっぱなしにしない。時間を決めて。
  3. 車で移動することが多い
    できるだけ公共機関を使って、歩く。エスカレータではなく、階段を登りましょう
  4. 週末は家でゴロゴロ、外で遊べる場所も少ない
    休日は公園でウォーキング、サイクリング、バトミントンしてみたり、アウトドア施設やレジャー施設に出かけてはいかがですか?
  5. 運動する習慣がない
    クラブ活動に積極的に参加したり、スポーツクラブに通うのも良いでしょう。家のお手伝いだって、いい運動になりますよ。