側弯症とは、簡単に言えば背骨がどんどん曲がって変形していく病気です。
主に、子どもの成長期に脊椎(せきつい)が左右に曲がり始めます。例えば、座った状態で紙の向きが体に対して90度ほど傾いた状態でものを書いているような子どもをよく見かけますが、こうした姿勢の悪さが脊椎の湾曲につながり、学校の運動機能も含めた定期健康診断でみつかることがあります。自覚症状がないので、見つけにくい病気のひとつです。
側弯症は主に、機能性側弯症と構築性側弯症との2種類に分かれます。
機能性側弯症は、日常生活における姿勢の悪さや、何らかの外的刺激、腰椎椎間板ヘルニア、骨盤のゆがみなどが原因であり、側弯の角度(曲がっている角度)が10度以上になる前に、それぞれの原因にあった対処法で姿勢を矯正することで改善可能です。
10度以上曲がってしまっている場合は、姿勢を正すための装具をつけなければ自然になおることはありません。放っておくと、骨が曲がっていることによって、その周りについている背中の筋肉が常に引っ張られている状態になり、背中が凝っている感じが続いたり、腰痛持ちになったり、肋骨が圧迫されて呼吸機能障害が出ることもあります。
成長期の間に治しておかなければ、年をとってから腰痛に悩まされることになります。
いっぽう、構築性側弯症の80%は特発性側弯症と言われており、原因が不明です。原因がわかっているものには、先天性の場合や神経障害、筋肉の麻痺や萎縮などがありますが、いずれの場合も脊椎がどんどん曲がっていってしまい、その進行を止めることができませんので、矯正用の装具をつけて最終的には外科手術によって脊椎を正常な状態に戻します。
側弯症の診断
正確な診断は胸部レントゲンをとって側弯の状況や角度を見る必要がありますが、ご家庭でもよく注意してお子さんの姿勢を見ておくことで、早期発見につながります。
- まっすぐに立った状態で、左右の肩の高さが違っていないか?
- 肩甲骨の位置や高さが左右で違っていないか?
- ウエストラインの曲がり具合が左右で違っていないか?
- まっすぐ立った状態から前屈して、両手をぶらんと下げたときに、背中の左右どちらかがコブように突出していないか?
心配なら早めにクリニックにご相談ください。
【この記事を書いた人】医学博士 中野康伸
横浜市生まれ、自治医科大学卒
・日本小児科学会専門医
・日本アレルギー学会専門医
・日本東洋医学会専門医
横浜市港北区で小児科専門医として、地域に根差した診療を行っています。「病気・症状何でもQ&A」のコーナーでは、一般の方にも分かる最新の医学知識や予防接種の情報、育児・発育の心配な事、救急時の対応など、様々なトピックを掲載しています。