尖圭コンジローマとは、ヒトパピロマウィルスの主に6型や11型に感染して、性器や肛門周辺にブツブツしたイボが出来る病気です。
痛みやかゆみといった症状はほとんどないのですが、にわとりのトサカやカリフラワー状のイボが増えてきたら、泌尿器科や婦人科、皮膚科で診断してもらいましょう。
尖圭コンジローマであることがわかったら、状況に応じてイボの外科的除去や軟膏を使って治療します。
妊婦さんの場合、出産時に産道で母子感染し、まれに新生児のノドにイボができる「再発性呼吸器乳頭腫症」という病気を発症する可能性もあるので、気になるようなら早めに検査しましょう。尖圭コンジローマが膣内に広がっているような場合は、帝王切開で出産するケースもあります。
全ての女性の80%が一生のうち一度は感染するHPV
ヒトパピローマウィルス(HPV)は、子宮頸がんの原因となるウィルスです。主に性交渉によってヒトからヒトへ感染します。特別なウィルスではなく、性交渉がある人なら、誰でも感染するリスクがあります。
HPVの中でもガン化するリスクの高い型(発がん性のあるハイリスクHPV)には、13~15種類の型がありますが、全世界的に感染率とガン発症率が最も高いのが、16型と18型です。この2つの型への感染を予防できる「子宮頸がん予防ワクチン」として、2009年に日本でサーバリックスが発売されましたが、2011年8月には、尖圭コンジローマの原因となる6型や11型を予防できるワクチン「ガーダシル」が発売されました。
ワクチンを接種すれば、子宮頸がんのリスクとなる16型と18型だけでなく、尖圭コンジローマへの感染を100%防止することができます。
尖圭コンジローマは、ガンにはならない良性の病気ですが、治療に時間がかかり、再発する可能性の高い病気です。ワクチンを受けることで、こうしたHPVへの感染を防ぐことができますが、すでにHPVに感染していて、まだ発症していないという方には効果がありませんので、感染する可能性が出てくる前に、特に女の子は思春期に入る頃にはワクチンを接種されることをお勧めします。
横浜市では、平成23年2月から平成25年3月まで、中学・高校生の女子を対象に、子宮頸がん予防ワクチンの接種費用助成を行っており、 平成25年4月からは予防接種法に基づく定期予防接種となりましたが、因果関係は不明ながら、接種後に持続的な痛みを訴える重篤な副反応が報告され、同年6月14日に厚生労働省が接種の積極的勧奨を差し控えて以降、横浜市でも接種をお勧めしていません。
現在、市内でも同様の症状に関するご相談をいただいています。
子宮頸がん予防ワクチンについて、さらに詳しくはこちらをご覧ください。
【この記事を書いた人】医学博士 中野康伸
横浜市生まれ、自治医科大学卒
・日本小児科学会専門医
・日本アレルギー学会専門医
・日本東洋医学会専門医
横浜市港北区で小児科専門医として、地域に根差した診療を行っています。「病気・症状何でもQ&A」のコーナーでは、一般の方にも分かる最新の医学知識や予防接種の情報、育児・発育の心配な事、救急時の対応など、様々なトピックを掲載しています。