当クリニックでは 「ダニの舌下免疫療法」(いつでも開始可能)と「スギ花粉の舌下免疫療法」(5月末から12月末が開始時期)を勧めています。 2014年10月8日よりスギ花粉症の舌下免疫療法が保険適応になりました。今までの免疫療法はスギ花粉エキスを注射しなければなりませんでしたが、現在は、舌の裏に治療薬(錠剤)を置いて溶かすだけで治療が可能になりました。
スギ花粉症の場合はスギ花粉を、ダニアレルギー性鼻炎にはダニのアレルゲンを含む治療薬を用います。
ダニやスギ花粉の舌下免疫療法の有効性は、長い間の様々な臨床研究でその有効性が実証されています。今までの症状が出た時だけの対症療法に変わり、根本的に体質を変える画期的な治療として注目されています。
治療方法
舌の裏側に治療薬となる錠剤を置いて溶かします。自分自身の免疫機能を向上させ、アレルギー反応を起こさないように体質改善するアレルゲン免疫療法です。
1日1回、錠剤を舌下に置いて、1分間唾液を保持した後に飲みこみます。その後5分間はうがい・飲食は禁止です。
初めは、クリニックで先生の監督のもとに服用しますが、その後は、自宅で服用できます。2週間かけて増量していき、以後は維持量を3~5年の間、毎日継続します。
治療のできる方と開始時期
治療できるのは5歳から64歳の方です。
スギ花粉に対する舌下免疫療法は、スギ花粉が飛んでいる時期に開始することはできませんので、6月から12月までの間にはじめるようにしましょう。
ダニに対する舌下免疫療法は、いつでも開始できます。
治療を受けられない人
- 妊娠している方
- 重症の気管支喘息の方
- 自己免疫疾患をお持ちの方
- スギ花粉アレルギーがない方
当クリニックでは、採血でスギ花粉アレルギー の有無を検査して確認しています。
治療効果
全ての人に効果があるわけではありませんが、約80%の方が症状が軽くなると報告されています。 実際この治療を続けている方々から、「症状が全く出ない、生活が本当に楽になった、ティシュボックスの消費量が全然違った、 抗アレルギー薬も飲まなくて済んだので医療費が助かった、夜もぐっすり眠れるようになった」など、うれしい声をたくさん頂いています。
副作用
- 口の中の副作用 (口内炎や舌の下の腫れ、口の中の腫れ、 かゆみ、不快感など)
- 唇の腫れ
- 咽喉(のど)のかゆみ、刺激感、不快感
- 耳のかゆみ
- 頭痛
などがありますが、一番重要なものは、アナフィラキシーショックです。これは急性のアレルギー反応で、皮膚の発赤・はきけ・呼吸困難、重症な例では血圧低下などのショック症状をきたします。
頻度は1億回に1回とされていますが、初めて服用する際には、副作用が出現しないか30分ほど経過をみさせていただきます。
舌下免疫療法について詳しく知りたい方は、こども用のパンフレットも用意してあります。 ダニアレルギーや花粉症でお悩みの大人の方も、お子さん達もぜひ一度ご相談下さい。
【この記事を書いた人】医学博士 中野康伸
横浜市生まれ、自治医科大学卒
・日本小児科学会専門医
・日本アレルギー学会専門医
・日本東洋医学会専門医
横浜市港北区で小児科専門医として、地域に根差した診療を行っています。「病気・症状何でもQ&A」のコーナーでは、一般の方にも分かる最新の医学知識や予防接種の情報、育児・発育の心配な事、救急時の対応など、様々なトピックを掲載しています。