「ボツリヌス菌」という食中毒を引き起こす原因菌についてご存じでしょうか?
これは、土の中や沼地に生息する植物の中で増殖し、それに汚染された植物の芽胞(がほう)にとまったミツバチに菌が付着することで、ミツバチが菌に汚染されることになります。
(ボツリヌス菌)に汚染される可能性のある食べ物は、ハチミツだけでなく、コーンシロップや黒糖などもそうです。また、(ボツリヌス菌)は、熱にも強いので加熱しても死滅することはありません。
菌に汚染されたミツバチから採取したハチミツには、当然(ボツリヌス菌)が含まれていることになります。(ボツリヌス菌)の芽胞を大人が食べても問題ないのですが、腸が未発達な乳児(特に1歳以下)が食べると、腸内で菌が増殖し、その際に産生される毒素により発症します。ミルクの飲みが悪くなったり、あきらかに元気がなくなります。
典型的な症状としては1週間程度の間、ウンチがでなくなります。また重症化すると、呼吸困難や死に至ることがありますので、予防のためにも1歳未満の乳児に、ハチミツを与えるのは絶対避けて下さい。また疑わしい時はすぐに受診してください。
診断方法
(ボツリヌス菌)に感染しているかどうかの診断は、ウンチの中に菌がいるかどうか検査しますので、疑わしい時はウンチを持ってきてください。
授乳中もハチミツは控えたほうがいいの?
大人は免疫力があるので、たとえ(ボツリヌス菌)が入ったハチミツを食べたとしても、菌を取り込むことはないので母乳を通して赤ちゃんに感染することはありません。
【この記事を書いた人】医学博士 中野康伸
横浜市生まれ、自治医科大学卒
・日本小児科学会専門医
・日本アレルギー学会専門医
・日本東洋医学会専門医
横浜市港北区で小児科専門医として、地域に根差した診療を行っています。「病気・症状何でもQ&A」のコーナーでは、一般の方にも分かる最新の医学知識や予防接種の情報、育児・発育の心配な事、救急時の対応など、様々なトピックを掲載しています。