高脂血症と聞くと、40代以上の大人がなる病気のイメージがありますよね。動物性脂肪やカロリーの過剰摂取によって血液中の脂質が増えすぎて、動脈硬化を起こしやすく、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高くなる生活習慣病のひとつです。しかし、両親のどちらかが、高脂血症の場合、その子どもにも遺伝して血中の脂質が高くなる場合があります。家族性高脂血症はコレステロールの処理にかかわる受容体の遺伝子異常によって起こります。両親のうち1人でもこの病気がある場合に、子どもに1/2の確率で遺伝します。
こどもの家族性高脂血症
子どもの家族性高脂血症は生活習慣に関わらず、体質的にコレステロールが高くなる疾患です。家族に高コレステロールの人がいる場合は、一度血液検査を受けたほうがよいでしょう。いくら脂っこい食事ばかり食べているからといって、血液検査で子どものコレステロール値が正常値の2~3倍になっている場合は、家族歴と合わせて医学的判断が必要になります。食事に気をつけることはもちろんですが、それだけでは正常値まで下がることはありません。薬を処方しながら経過観察をします。小児期からコレステロール値がかなり高い場合、動脈硬化になりやすくなるため、子どもでも心筋梗塞、脳梗塞、突然死など重大な病気を発症するリスクが高くなります。
家族性高脂血症の治療方法
血液検査および8~10歳になるまでの経過検察の結果、家族性高脂血症と診断された場合は、内服薬でコントロールすることになります。子どもの場合は副作用も少ないので安心です。両親のどちらかに高脂血症がある場合は、念のため採血をお勧めします。お気軽にご相談ください。
【この記事を書いた人】医学博士 中野康伸
横浜市生まれ、自治医科大学卒
・日本小児科学会専門医
・日本アレルギー学会専門医
・日本東洋医学会専門医
横浜市港北区で小児科専門医として、地域に根差した診療を行っています。「病気・症状何でもQ&A」のコーナーでは、一般の方にも分かる最新の医学知識や予防接種の情報、育児・発育の心配な事、救急時の対応など、様々なトピックを掲載しています。