毎年、春になると偏西風に乗って、中国から黄砂が吹いてきて、車や庭や道路が砂だらけになります。
そこへきて、最近では工場からの排気で大気汚染された空気が日本に向かって飛んできて話題を呼んでいます。北京では大気汚染がひどく、ほとんどの歩行者がマスクをしている光景がニュースで放映されています。
最近、よく耳にするPM2.5というのは、「Particulate Matter」の略で、訳すと「粒子状物質」という意味です。PM2.5は粒径2.5マイクロメートル(2.5ミリの1000の1)以下の超微粒子のことで、大気汚染の原因物質なっています。
問題なのは、粒子が細かいので、肺の奥深くまで入りやすく、気管支炎やぜんそくなどの病気の原因となります。また、アトピーや花粉症などで肌が敏感な人は、肌荒れやじんましんなどのアレルギー反応を引き起こしたり、眼精疲労をきたすことがあります。最悪の場合は、肺の組織を傷つけて、そこから血管をめぐって全身にまわり、他の臓器や粘膜を傷つけ、やがて心臓病や肺がん、心筋梗塞、高血圧、脳卒中などの重大な病気になることがあります。
対策と予防
外出する時は、なるべくマスクをして、特にアレルギーのある人は、アレルギー用のメガネをしたりするとよいでしょう。家にかえったら、うがい、手洗い、顔を洗って、できれば鼻の中を洗うとよいでしょう。市販の鼻洗いスプレーなどを使ってもよいですね。また、花粉やアレルギー専用の目を洗う商品もありますので、それを使うと目のかゆみもすっきりします。
クリニックでは、抗アレルギー剤と点鼻薬、点眼薬、肌の赤みやかゆみに利く軟膏を処方します。なるべく毎年、2月には飲み始めるようにすることをお勧めします。
【この記事を書いた人】医学博士 中野康伸
横浜市生まれ、自治医科大学卒
・日本小児科学会専門医
・日本アレルギー学会専門医
・日本東洋医学会専門医
横浜市港北区で小児科専門医として、地域に根差した診療を行っています。「病気・症状何でもQ&A」のコーナーでは、一般の方にも分かる最新の医学知識や予防接種の情報、育児・発育の心配な事、救急時の対応など、様々なトピックを掲載しています。