ヒトパレコウイルス感染症

ヒトパレコウイルス感染症は、夏から冬にかけて流行します。このウィルスは、エンテロやポリオと同じウィルス科で、感染しても普通の風邪と見分けがつきにくいのですが、生後3か月未満の乳児が感染すると重症化することが多く、その場合は3か月以上の入院が必要となるので早期の治療と判断が重要です。2~3年周期で流行する傾向があります。

症状

ヒトパレコウィルスにはいくつかの型があります。多くの場合は、39~40度の発熱とともに軽い呼吸器症状や下痢などの胃腸症状が出て、約80%の感染児が手の平や足の裏に赤い発疹(紅斑)が出ます。これと似たような症状が出るウィルスは他にもたくさんあり、例えば「手足口病」も、手の平や足の裏に発疹が出て口内炎もできますし、「りんご病」は頬に赤い発疹が出ます。他のウィルスと区別して診断するのが難しいのですが、生後3か月未満の乳児にこうした症状が出た場合は、念のためヒトパレコウィルス感染症を疑って調べることをお勧めします。もし重症化した場合は、無呼吸状態や痙攣、敗血症性ショック、肺炎を起こしたり、髄膜炎や脳炎、中枢神経の麻痺症状が出て、最悪の場合、死に至ることがあります。

検査方法

便にウィルスが出るので便検査や、のどの粘膜液を綿棒で擦りとって細胞検査したり、血液検査をすることで診断をつけますが、残念ながら10分以内にすぐに診断できるようなキットがありません。また特効薬もないので、月齢の低い乳児で感染が疑われる場合は、重症化するリスクを避けるために早めに入院可能な病院をご紹介いたします。

感染予防

夏に流行する代表的な手足口病やヘルパンギーナ、プール熱の原因である「エンテロウィルス」と同じウィルス科であることから、同じように手洗い、うがいが有効です。家族間のタオルや食器の共有も避けるようにしましょう。このウィルスは、大人がかかっても風邪とあまり変わらない症状なので気が付かないことが多いのですが、 新生児がいるご家庭では特に気を付けるようにしましょう。