下痢をする理由にはさまざまあります。ここでは、代表的な原因、すぐに受診が必要な場合、ご家庭でのケアについてご紹介します。
また 乳幼児の便は、普通の場合でも大人よりやわらかく、特に1日に何回も排便するような乳児は下痢なのかどうか見分けがつきにくいものです。そういう場合は、便のついたオムツを持って当クリニックを受診してください。
ウィルス性下痢症
ロタウィルスなど冬場に流行するウィルス性の下痢症です。症状は水のようなサラサラ便で、嘔吐、腹痛をともなうことがあり、まれに脳炎、脳症、けいれんを起こします
【受診の目安】 下痢はあるが機嫌もよく、水分も取れているなら下痢のケアをして様子をみましょう。 以下の脱水症状がある場合は早めに受診してください。
- おしっこの量が減った または半日でていない
- 水分を受け付けない
- 目が落ちくぼんでいる
全身状態が悪く、ひきつけを起こしたり、意識がはっきりしない場合は、大至急受診を!
細菌性下痢症
O-157など下痢を引き起こす細菌性のものです。血便(いちごジャム様)、黒緑色便(のりのつくだ煮様)の便が出たら細菌性である可能性があります。
このような便が出たら早めに当クリニックを受診してください。
下痢の時の基本ケア
- おっぱい・ミルク
ミルクは希釈する必要はなく、母乳の赤ちゃんでもそのまま授乳してもかまいませんが、あくまでも赤ちゃんのペースで。 下痢の治りが悪い時は、乳糖分解乳(ラクトレスミルクなど)に変更するとうまくいくことがあります。 - 食事(離乳食)
食事や離乳食のスタートは、野菜のスープ(にんじん・かぼちゃはとてもよい)、みそ汁から始め、すりおろしリンゴ、バナナ、白桃などを小さく切って与えるとよいでしょう。とくに子どもは見せると食べてしまうので、1回の量はこれだけと、少量から始めるのがコツ。親自身は子どもが寝てから食べるくらいの気持ちでいてください。 - 水分
口からの点滴のつもりでイオン飲料、麦茶、湯冷ましなどを少量ずつ与えます。吐き気をもよおす柑橘系のジュースなどは避けたほうが無難。
下痢のときにおすすめの食品
おすすめできる食品 | 避けた方がよい食品 | |
穀類 | うどん、トースト | すし、中華めん |
いも類 | じゃがいも、里芋 | さつまいも、こんにゃく |
豆類 | 豆腐、高野豆腐、きな粉、煮て裏ごしした豆類 | 大豆、あずき、油揚げ、がんもどき |
野菜 海藻類 | やわらかく煮た野菜 かぼちゃ、にんじん、かぶ、ほうれんそう、大根、キャベツ | 繊維の多い野菜 たけのこ、ごぼう、れんこん、きのこ類 |
果実類 | りんご、バナナ、白桃 | 柑橘類、梨、いちご、パイン、スイカ、干した果物 |
魚介類 | 脂肪の少ない魚 たい、かれい、たら、はんぺん | 脂肪の多い魚 いわし、さんま、さば、干物、貝類、かまぼこ |
卵 | スクランブルエッグ、卵とじ | 生卵、固ゆで卵 |
肉類 | 脂肪の少ない部位 鶏ささみ肉、豚・牛ヒレ肉 | 脂肪の多い部位、加工品 バラ肉、ロース、ハム、ベーコン、ソーセージ |
菓子類 | プリン、卵ボーロ、ウエハース、ゼリー | ケーキ類、せんべい、ナッツ類 |
【この記事を書いた人】医学博士 中野康伸
横浜市生まれ、自治医科大学卒
・日本小児科学会専門医
・日本アレルギー学会専門医
・日本東洋医学会専門医
横浜市港北区で小児科専門医として、地域に根差した診療を行っています。「病気・症状何でもQ&A」のコーナーでは、一般の方にも分かる最新の医学知識や予防接種の情報、育児・発育の心配な事、救急時の対応など、様々なトピックを掲載しています。