咳(セキ)には色んなタイプがあります。
風邪を引いた時、はじめは「コンコン」と痰(タン)の絡まない咳が出ることが多いようです。鼻水が出てくると、鼻水が喉に落ちて「ゴホゴホッ」とした咳が出ます。
気管支や肺に炎症が起こっている場合などは、痰の絡んだ湿った咳が出ます。
その他、声門の部分に炎症が起きて出る「ケンケン」という音の咳や、喘息(ぜんそく)の発作時に出る「ヒューヒュー」とか「ゼーゼー」といった音の咳があります。
また、百日咳にかかった場合は、「コッコッコッコッ」という連続した咳のあとに、「ヒーーーー」という息を吸う音がする特徴のある咳が出ます。
咳止めを使わないのは何故ですか?
咳は、鼻水や涙、タンなどと一緒にウィルスを外に出す役割。出したほうが、かえってよいこともあります。痰を外に出そうとして咳をしている場合は、それを止めてしまうと、痰が溜まってしまうのでかえって良くないからです。
痰が多く出る咳をしている場合は、咳止めではなく、気管支拡張剤を使って 気管支を広げて痰を出しやすくしてあげるほうが大切です。 夜間に眠れないほど咳が出るなど、どうしてもという場合だけ先生と相談して咳止めを服用してもよいでしょう。
咳が出る時の家庭でのケア
- 水分をたくさんとりましょう
痰を切れやすくするために、普段より多めに水分を取るようにしましょう。夜中に咳き込んだ時なども、お水やお茶を飲ませると、咳が少し落ち着いたりします。 - こまめな換気と適度な湿度
新鮮な空気を入れて、部屋の換気をするように心がけましょう。室温や湿度は適度に調節してください。また、加湿器を使って湿度を上げると、呼吸が楽になります。 - 横になる時は姿勢を工夫して
仰向けに寝かせると痰が絡んでむせるので、頭を少し高くして寝かせたり、横向けやうつぶせにすると少し楽になります。 小さい赤ちゃんの場合は、お母さんが縦抱きにして背中を軽くトントンしてあげると落ち着いたりします。 - 咳き込んでいる時は軽くトントン
痰が絡んでひどく咳き込んでいる時は、背中や胸の辺りを軽くトントンと叩いてあげて、痰を出しやすくしてあげるとよいでしょう。
こんなときは大至急受診しましょう!
● 咳がひどく、ぐったりして顔色が悪い
● 咳がひどく、夜も眠れない
● ケンケンという音の咳で、息を吸う時に喉の下の柔らかい部分がペコーと陥没する
● 赤ちゃんで1分間に60回以上の呼吸をしている
● 赤ちゃんで「ウーンウーン」とうなりながら呼吸している
【この記事を書いた人】医学博士 中野康伸
横浜市生まれ、自治医科大学卒
・日本小児科学会専門医
・日本アレルギー学会専門医
・日本東洋医学会専門医
横浜市港北区で小児科専門医として、地域に根差した診療を行っています。「病気・症状何でもQ&A」のコーナーでは、一般の方にも分かる最新の医学知識や予防接種の情報、育児・発育の心配な事、救急時の対応など、様々なトピックを掲載しています。