クリニックを受診されると、院長がお子さんの症状を見て、体重に応じた量のお薬を処方します。
「同じような症状だから・・・」と言って、お友達の子どものお薬をもらい飲みしたりするのは厳禁です。 お子さんによってアレルギーの有無や、薬で副作用が出る事もあるので、必ず自分に合った処方薬を飲ませるようにしてください。
また、「食後」「食前」といった用法が指示されていますが、嫌がってうまく飲ませられない時は特にこの時間にこだわらず、機嫌のいいときをねらって飲ませてみてください。ただし、薬を飲ませる間隔は最低でも6時間以上は空けてください。
シロップ薬
シロップ薬は甘くて飲ませやすいので、飲み薬としてよく処方しますが、その飲みやすさ故に誤飲する危険性があるので、保管場所には充分に注意してください。
また、糖分が入っているために雑菌が発生しやすく、長期保存することができません。使用後は冷蔵庫で保管して、1週間から10日経過したものは捨てるようにしましょう。飲ませる時には、一回分の量を別の容器に移してから飲ませます。 飲ませるために使ったスポイトやスプーンなどを薬の容器に戻しいれたりすると、そこから雑菌が入って品質が低下するおそれがあるのでやめましょう。
シロップの底に薬が沈殿していることがあるので、飲ませる前には容器を振って中身を混ぜてから計るようにしてください。
シロップ薬の上手な飲ませ方
赤ちゃんには、スポイトや注射器タイプの薬飲ませ器でシロップを吸い取って、舌の奥にポタッと落としてあげると上手に飲めます。
スプーンで飲める子は、シロップを何回かに分けて少しずつ与えます。スプーンをなるべく口の奥のほうへ入れて、こぼさないように飲ませるとよいでしょう。
やってはいけません!!
- 一回分飲み忘れたからといって、次に二回分の量を飲ませたりするのはダメ! 1回の薬の量が増えると思わぬ副作用が出る危険があります。
- 市販の薬と一緒に飲ませるのもダメ! 薬の種類が合わなかったり、効き目が強くなりすぎたりと思わぬ副作用が出る危険があります。
粉薬
粉薬はシロップ薬と比べると長期保存に向いています。ただし、湿気ないように密閉容器に入れて保管するように注意してください。
粉薬の上手な飲ませ方
赤ちゃんには、少しの水で練ってお団子状にしたものを、頬の内側や上あごに指でなすり付けてあげると、モグモグっと飲み込めます。
甘い味のついている粉薬なら、水で溶いてスプーンやスポイトで少しずつ飲ませます。
市販のゼリー状のオブラートや、単シロップに混ぜて飲ませるのも効果的。水に溶けにくい粉でも、シロップにからまって飲ませやすい上に、甘い味になるので飲みやすくなります。
やってはいけません!!
- お湯で溶かすのはダメ! 高温で薬が化学反応するおそれがあります。(ただし、漢方薬だけはお湯で溶いてもOK。処方された時に先生に相談してください)
- あらかじめ溶かして作り置きするのはダメ! 水などに溶かした状態で放置すると変質する可能性があるのでやめましょう。
薬局でお薬を渡される時に、一緒に飲むと苦味がでるもの(柑橘系のジュースやヨーグルトなど)について説明してもらえますので、何で溶くのが一番飲みやすいか相談されるとよいでしょう。
【この記事を書いた人】医学博士 中野康伸
横浜市生まれ、自治医科大学卒
・日本小児科学会専門医
・日本アレルギー学会専門医
・日本東洋医学会専門医
横浜市港北区で小児科専門医として、地域に根差した診療を行っています。「病気・症状何でもQ&A」のコーナーでは、一般の方にも分かる最新の医学知識や予防接種の情報、育児・発育の心配な事、救急時の対応など、様々なトピックを掲載しています。