市販の風邪薬に含まれるコデイン酸に要注意!
子どもが風邪をひくと、激しく咳き込んで嘔吐したり、夜眠れない日々が続くので、病院に行かなければ・・・と思いつつ、働くお母さんやきょうだいの送り迎えなど、さまざまな理由でなかなか予約をとって受診する時間が取れないという実情があります。そんな時に「じゃあ市販薬の風邪薬をとりあえず飲ませて様子をみよう」と思う方が多くいらっしゃるでしょう。しかし、市販の咳止め薬には、コデイン酸という成分が含まれており、子どもに重篤な呼吸障害の副作用が出ていることから厚労省が注意喚起を促しています。
咳止めには2種類ある
咳が出るような風邪をひくと、通常は気道に炎症が起こって腫れていて、また痰が壁にへばりついていることが理由で、気道が狭くなり、呼吸しにくくなるので咳をして痰を出そうとする自然な反応です。
この咳を緩和する方法には2種類あります。
ひとつは、気道を広げてあげる気管支拡張剤を使ったり、去痰剤を使って痰を出しやすくすることで呼吸を楽にするタイプ、もうひとつはコデイン酸を使って脳に直接働きかけるタイプです。コデイン酸は、脳の延髄の咳中枢を抑制することで咳を止める効果があります。しかし、これを小児に使った場合、あまりに強力な作用で気管支の収縮が激しくなり、呼吸が停止し、死に至るケースが報告されています。
厚生労働省は2019年7月9日、 コデイン類又はトラマドールを含む医薬品について、「12 歳未満の小児」及 び「扁桃摘除術後又はアデノイド切除術後の鎮痛目的で使用する 18 歳未満の 患者」を禁忌とすることを発表しました。
12歳以下のお子さんが咳をしている場合は、市販薬に頼らずに、なるべく早めに受診するようにしてください。
【この記事を書いた人】医学博士 中野康伸
横浜市生まれ、自治医科大学卒
・日本小児科学会専門医
・日本アレルギー学会専門医
・日本東洋医学会専門医
横浜市港北区で小児科専門医として、地域に根差した診療を行っています。「病気・症状何でもQ&A」のコーナーでは、一般の方にも分かる最新の医学知識や予防接種の情報、育児・発育の心配な事、救急時の対応など、様々なトピックを掲載しています。