鉄や亜鉛、葉酸などは重要な微量ミネラルで、体内で生成できないため、食品やサプリメント、薬など外部から摂取するしかありません。これらのミネラルは、成長期の子供にとって重要な役割を果たしています。
亜鉛
子どもの亜鉛不足は、身長の伸びが悪くなったり、味覚障害(舌がピリピリして味を感じにくい)、傷の治りが悪い、皮膚疾患、下痢、脱毛などの症状を引き起こします。亜鉛は、カキやナッツ類、乳製品、納豆、ごま、ひじき、ココアなどに多く含まれていますので、子どもが食べられるようにカキフライにしてみたり、ごまをごはんにかけてみたり、納豆を食べさせてみたりするとよいでしょう。
鉄
鉄が不足すると貧血症状を起こし、発達にも影響します。6か月を過ぎたあたりから~2歳くらいまでの間や、サッカーや野球など、激しい運動をしている子ども、思春期の女子(生理による)は鉄が不足しがちです。めまいや胸の辺りがヒンヤリするような感覚、立ちくらみ、疲れやすい、落ち着きがない、爪が変形している等の症状がみられる場合は、鉄剤を処方します。数か月服用すれば改善しますが、普段の離乳食や食事でも積極的に鉄が取れるような食材を入れるように工夫してみましょう。バナナには鉄が多く含まれていて食べやすいのでお勧めです。
葉酸
葉酸はビタミンB群の大切な栄養素です。子どもは成長するために葉酸が欠かせません。葉酸も体内では生成できないため、食事や薬など外部から摂取する必要があります。また妊娠中の母親の葉酸が不足していると、胎児の神経管閉鎖障害(脳、脊椎、脊髄に生じる先天異常)や無脳症(脳組織が発達できない病気)になることがありますので、妊娠中のお母さんは葉酸をサプリメントで摂取することをお勧めします。葉酸が多く含まれる食品としては、生野菜、バナナ、マンゴー、アボカド、キウイ、いちごなどです。
以上の様な症状が思い当たる方は、亜鉛、鉄、葉酸の検査を保険で受けることが出来ます。
もしかしたらそうかもしれないと感じる方は、いつでも御相談下さい。詳しくお話させて頂きます。
【この記事を書いた人】医学博士 中野康伸
横浜市生まれ、自治医科大学卒
・日本小児科学会専門医
・日本アレルギー学会専門医
・日本東洋医学会専門医
横浜市港北区で小児科専門医として、地域に根差した診療を行っています。「病気・症状何でもQ&A」のコーナーでは、一般の方にも分かる最新の医学知識や予防接種の情報、育児・発育の心配な事、救急時の対応など、様々なトピックを掲載しています。