
豆乳アレルギーは、大豆に含まれる特定のタンパク質が原因です。つまり、豆乳アレルギーがあると、他の大豆製品にも反応します。例えば豆腐や味噌、納豆などです。またカバノキ科の花粉(シラカンバ、ハンノキなど)に含まれるタンパク質と大豆に含まれるタンパク質が似ているため、豆乳の様な加工度の低い大豆製品を摂取するとアレルギーが起きる可能性があります。このように、豆乳アレルギーは花粉症と関連があることを意外に知られていません。つまり、カバノキ科の花粉症があると、知らないうちに豆乳アレルギーになる体質に変わってしまうわけです。
症状
豆乳アレルギーの症状は個人によって異なりますが、一般的には数分から数時間以内に次のような症状が出ます。
- 皮膚の症状: かゆみ、発疹、蕁麻疹、湿疹
- 消化器症状: 吐き気、嘔吐、腹痛、下痢
- 呼吸器症状: 鼻水、くしゃみ、咳、喘息、息切れ
- 全身症状: 顔や喉の腫れ、アナフィラキシー(
特にアナフィラキシーの場合は迅速な対応が必要です。
治療法
豆乳アレルギーの最も効果的な治療法は、豆乳および大豆製品の摂取を完全に避けることです。外食先などで、知らずに豆乳を摂取してしまった場合は、症状が出た時点で早めに医療機関を受診してください。軽度の場合は抗ヒスタミン薬で、かゆみや発疹などの症状を和らげることができます。重度の症状やアナフィラキシーが発生した場合には早急な対応が必要ですので、常にエピペン(エピネフリン自己注射器)を携帯し、緊急時に使用できるようにしておくことが重要です。
予防と管理
豆乳アレルギーを持つ人は、幼稚園や保育園、学校や職場でもアレルギーについて知らせ対応策を講じることが必要です。豆乳の代替品として例えば、市販のアーモンドミルクやオーツミルクを使うことができます。
アレルギー検査
食物アレルギーを引き起こす「アレルゲン」を特定するための検査は、負荷試験(実際食べてみる)が基本です。医師の監視のもとに少しづつ食べながら、ゆっくり 時間をかけて症状の程度を見て判断するという方法です。
この方法は、かなりの時間と人の手間をかけて実施するため、入院して閾値(食べられる量を決める)を決めるのが一般的です。場合によってはアナフィラキシーを起こす危険性もあります。軽い症例では外来で実施することも可能ですが、かなりハードルが高いのが実情です。
そこで、一般的には、血液の抗体検査でアレルギーがあるかないかを判定する方法がよく使われています。また最近は、「アレルゲンコンポーネント」という、アレルギーを引き起こす食物抗原の特殊な部位を測ることができるようになり、ピーナッツ、クルミ、カシューナッツ、大豆、小麦アレルギーなどはかなりの精度で診断ができるようになりました。しかし、抗体が陽性でも必ずしも原因アレルギーとは言い切れず、やはり確定には前述の負荷試験が必要になるわけです。
多くの医療機関からよく聞く話ですが、簡単に血液検査といっても、乳幼児は血管が細くて、しかも見えにくいので採血がなかなか難しく、何度も穿刺して、こどもに負担をかけてしまうことがよくあります。また赤ちゃんの場合、免疫がまだ未発達なので血液検査では反応が出にくく、原因食物の結果がたとえマイナスでも、実際身体はアレルギーを引き起こす可能性はあります。(偽陰性)
当クリニックでは、詳しい問診とこれらの検査結果を参考にしながら、小児食物アレルギーガイドラインに記載のある、「経口免疫療法」に準じた正しい食の進め方の指導を、アレルギーエデュケーター(臨床アレルギー学会認定看護師)が時間をかけて説明しています(予約制)。ご希望の方は、受付にご相談下さい。

【この記事を書いた人】医学博士 中野康伸
横浜市生まれ、自治医科大学卒
・日本小児科学会専門医
・日本アレルギー学会専門医
・日本東洋医学会専門医
横浜市港北区で小児科専門医として、地域に根差した診療を行っています。「病気・症状何でもQ&A」のコーナーでは、一般の方にも分かる最新の医学知識や予防接種の情報、育児・発育の心配な事、救急時の対応など、様々なトピックを掲載しています。