蚊のアレルギー

蚊に刺された時の反応には個人差があります。刺された直後に患部が猛烈にかゆくなって、ぷくっと腫れ上がっても、数時間経てば腫れが引いて、そのうち跡形もなくなる人もいれば、翌日になって真っ赤に腫れあがり、2週間経ってもかゆみがおさまらないという人もいます。

こうした症状は、蚊に刺された時に体内に入った蚊の唾液腺物質に対するアレルギー反応です。アレルギー反応が強く出る人は、刺されたところが赤く腫れてかゆみが出るだけでなく、全身にじんましんが出たり、発熱する場合があります。人によっては、死に至るケースもありますので、生まれて初めての夏を迎える赤ちゃんの場合、蚊に対するアレルギー反応の有無を注意しなければなりません。

アレルギー反応の違い

蚊アレルギーには、大きく分けて2つのタイプがあります。蚊に刺されるとすぐにかゆくなり、赤く腫れるタイプ(即時型反応)と、刺されてもすぐには反応がなく、翌日になってかゆくなり、赤く腫れて水ぶくれになったりするタイプ(遅延型反応)があります。刺されてから1週間以上経っても、かゆみがおさまらないのは、蚊の唾液腺物質に対するアレルギー反応が繰り返し起こっているからです。

蚊に刺されたら?

アレルギー反応が強い場合は、蚊の繁殖が活発になるシーズン前に抗アレルギー剤を内服したり、刺された時にどのように応急処置ができるかなどについて、クリニックでご相談下さい。

また、皮膚にとまった蚊を叩いて潰した場合は、蚊の体液が付着していますので、きれいに水で洗い流すようにしましょう。

かゆみが強く、かきむしったりして皮膚症状が悪化しそうな場合は、かゆみを抑える作用のある抗ヒスタミン剤入りの軟膏を患部に塗り、とびひアトピー性皮膚炎に発展するのを予防します。

蚊が媒体となる重病

日本脳炎やマラリアは、蚊が媒介となって感染する病気です。日本国内での感染は、いまでも年間10名くらいみられます。毎年、日本脳炎ウィルスを持った蚊は発生しており、国内でも感染の機会はなくなっていません。また、日本脳炎の流行地域(朝鮮半島、台湾、中国、ベトナムなど)など海外へ旅行される方は、日本脳炎ワクチンの効果や副作用についての説明を受けた上で、接種を検討されることをお勧めします。日本脳炎の予防接種については、受付にご相談下さい。

蚊を予防するには?

蚊は、人間の出す二酸化炭素や汗の臭い、体温を感じ取って寄ってきます。人間の血を吸うのは、産卵期にたんぱく質を必要とするメスの蚊だけです。

一般的に、お酒を好む人やO型の人が刺されやすいと言われていますが、様々な研究によってその理由も明らかにされています。例えば、O型の人の場合、赤血球を覆っている物質が花の蜜によく似ていることから、蚊が寄ってきやすいと言われています。またお酒を飲むと、アルコールを分解する副産物として二酸化炭素が生成されるため、蚊が反応しやすくなるという訳です。

蚊を予防する方法として、最もポピュラーなのは、虫よけスプレーですが、汗をかくと流れ落ちてしまい、5時間程度しか効果が持続しません。蚊の多い場所に出かける時は、数時間おきに塗りなおしたり、洋服に塗布したりすれば効果が持続します。

また最近、電気式蚊取り器を使う方が多くなりましたが、これは殺虫成分を電気熱で揮発させることで蚊の活動を弱らせるものです。同じく、蚊取り線香も殺虫成分を揮発させた煙にして蚊を弱らせます。

殺虫成分は微量で人体には影響がないと言われていますが、室内で使用する場合には、つけっぱなしにせず、蚊がいなくなったら換気するようにしましょう。

特に喘息やアレルギー体質のお子さんがいる場合は、蚊取り線香の煙で喘息発作が出たり、吐き気やめまいなどの症状が出ることがありますので、注意しましょう。

小さい赤ちゃんが居るご家庭では、最も原始的ですが、ベビーベッドの周りに蚊帳を吊るして赤ちゃんを保護するのが効果的だと思います。